琴桜「最後まで慌てずにいけた」2敗の隆の勝破り、賜杯レースは1敗守った豊昇龍と事実上の一騎打ち
◆大相撲九州場所 13日目(22日・福岡国際センター) 大関・琴桜が1敗と首位の座を死守した。1差の2敗で追う東前頭6枚目・隆の勝を上手投げで退け、大関昇進後最多となる12勝目を挙げた。今年の64勝目もマークし、年間最多勝争いでもトップの新大関・大の里に並んだ。豊昇龍は土俵際の驚異的な粘りで、大の里との大関対決をとったりで制して1敗を守った。2敗が消え、優勝争いは千秋楽で琴桜と豊昇龍の直接対決が予想されるため、事実上2大関に絞られた。 【九州場所】番付&星取表 終盤に来て安定感を増す琴桜が、隆の勝の勢いを止めた。立ち合いから押し込まれたが、得意の右を差してこらえた。右ですくいつつ、左上手をつかむと力強い投げで転がした。「攻められて内容は良くない」と首をかしげたが、自分十分でなくても白星につなげた。「最後まで慌てずにいけた」と、うなずいた。 4日目からの10連勝で12勝に到達。今年春場所で新大関となってから在位5場所目で最多の白星をマークした。さらに今年の64勝目で、先場所終了時点で4差が開いていた年間最多勝争いでもトップの大の里に並んだ。祖父の元横綱・琴桜は27歳の時、大関5場所目で初めて賜杯を抱いた。孫も場所中の19日に27歳を迎え、大関在位数も同じ。「追いかけているみたい」と目を丸くするが、運命に導かれるように悲願の初優勝へ向け着実に歩みを進めている。 関脇だった今年初場所には優勝決定戦に進出。経験も積み、トップを走る最終盤の朝稽古でも、変わらず後輩力士を熱心に指導。父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「大関という地位もそうだし(V争いも)なかなか味わえるものじゃない。日々、楽しんでこい、と声をかけているが、稽古を見ても緊張は感じられない」と、まな弟子のたくましさに目を細める。 八角理事長(元横綱・北勝海)は「押し込まれたが、左手の使い方がうまかった」と評した。同じく1敗を守った豊昇龍と事実上の一騎打ちとなった賜杯レース。琴桜は「変わらず、目の前の一番に集中」と泰然自若を貫いた。14日目の大の里戦に勝てば、年間最多勝が確定。その先にある夢の初賜杯まで一気に突っ走る。(三須 慶太)
報知新聞社