趣里主演・異色のリーガルドラマ『モンスター』誕生秘話「トラブルの理由をあえて曖昧に描く意味」
ジェシーのアドリブ力
亮子と杉浦義弘(ジェシー)のバディものでもある本作。亮子に振り回される時の杉浦の反応は毎回面白い。名コンビの2人ではあるが、キャスティングの経緯が気になるところ。 加藤氏は「趣里さんは猟奇的な役を演じることもあれば、『ブギウギ』(NHK総合系)では福来スズ子という天真爛漫な役を演じることもある。『趣里さんってどういう人ですか?』と聞かれた時にハッキリと答えられる人は少ないと思います」という。 「亮子は何を考えているのかがわからない人物です。亮子の得体の知れなさを表現してくれる役者さんとして適任であると感じました。また、橋部さんは脚本を描くうえで亮子の性格や言動を細かく記さずに趣里さんに委ねている部分があるのですが、制作側の期待を超える演技を毎日見せてくださるのでオファーして本当に良かったです」 次にジェシーのキャスティングの背景として「趣里さんと亮子の父親役として古田新太さんの出演が決まっていて、『この2人と一緒に誰が立っていたら面白いか?』を話し合っていた時、『ジェシーさんならワクワクしそう』と直観的に感じました」と振り返る。 「振り回されたり、難易度の高い依頼を引き受けたりなど、亮子の思いがけないアクションに、自然にツッコミやリアクションをする“視聴者の補助”になってくれる存在として杉浦というキャラを考えていました。『視聴者の共感を誘い、そのうえで感情を乗っけてもらえそうな杉浦役にはジェシーさんがピッタリでは?』と考えたことも背景にあります」 また、ジェシーの演技についても触れる加藤氏。 「バラエティ番組で培われたものなのか、遊びのパートにおいて他の出演者のアドリブに対するリアクションが早く、それでいて面白い。また、最初の本読みの段階で『え!?』というセリフが多いことから、監督から『え!?』のバリエーションを増やすように宿題を出されていました。ただ、その宿題も毎回満点で提出してくれています」 亮子に振り回される杉浦に同情してしまうと作品の軸がぶれる。しかし、杉浦は亮子に振り回されていても良い意味でかわいそうに見えない。それはジェシーだからこそ成立させられているのだろう。