中国の激安ネット通販SHEINが「10兆円」IPOか、習近平の政策に見事合致?ユニクロ「盗用」疑惑も…!
● 中国の経済政策に見事に合致する SHEINのビジネスモデルと強み 前述のように、いくらか問題はあるものの、SHENのような企業の活発な国際展開は、中国の掲げる改革開放が「新たな段階」に入っていることを示している。 1978年末に決定した改革開放以降、中国は世界に門戸を広げ、外国との経済交流を深めてきた。改革開放の初期は、外資を呼び込んで、資本主義国の利点を大いに取り入れて国の経済力を高めることが主眼に置かれていた。 改革開放が進むにつれ、中国製品の質も向上し、「安かろう悪かろう」ではなくなってきている。また、「外資頼み」といわれた中国にも、独自のブランドが出てくるようになり、「引進来(引き入れる)」から「走出去(外に出て行く)」に積極的に舵を切っている。SHEINの躍進も、「新たな段階の改革開放」におけるパフォーマンスの一例と言える。 SHEINのビジネスモデルの強みは、消費者に直接アプローチするオンライン販売戦略である。消費者ニーズをリアルタイムに把握した上で、どのような製品が売れるか素早く考え、生産発注することで、設計~生産~販売までのプロセスの短縮に成功している。「財経雑誌」(5月28日付)によると、設計から店舗に並ぶまで早ければ7日しか要さないそうだ。 さらに、「毎日、SHEINには6000もの新作があり、ファストファッションの世界的大手ZARAの半年分の量に追いついた。流行のデザインは移り変わりが早く、そのリズムでこそ、ファッションのスピードに追いつくことができるのだ」(財経雑誌)という。 現在の中国の若者はネットでの評判を見てから、購入を決める人が少なくない。また、インフルエンサーの商品紹介も、若者の購入行動に影響を与えている。 それは、現在の中国人の消費が「人並みのもの」を手に入れる段階から、「他でなかなか買えないもの」を手に入れる段階に入っていることが背景にある。新製品が大都市で売り出されても、地方都市ではなかなか手に入らず、何日も待たなければならない「空間的隔たり」があるが、オンラインはその問題を解決し、「いち早く知り、いち早く手に入れる」ことができる。 また、生産についてSHEINは、従来のような大規模生産戦略ではなく、「需要に基づいた小ロット生産」を行っている。1つの製品につき100~200点の小ロットでテスト販売を行って、市場の反応を見てから追加発注を決めるというものだ。もし、製品の売れ行きが良くなければ、すぐさま調整に入る。 リアルな販売データに基づいた生産計画の調整により、SHEINは過剰在庫を抱えるリスクを軽減している。こうした戦略は、中国政府が15年前後から打ち出した「インターネット+」の成功例といってよい。 SHEINの「自社ブランド+プラットフォーム」を両輪にした戦略は、デジタル時代の小売の新たな形態になった。これは、代行運営と自主運営のモデルがある。 前者は、商品運営(販売、管理など)、保管、物流、カスタマーサービス、アフターサービスなどの面でSHEINが支援するというもの。後者は、販売者は自主管理品の選択、棚上げ、市場戦略、販売、在庫、物流などを含む自主運営を行うというものだ。SHEINはプラットフォーム資源とブランドの影響力を頼りに、ブランドの構築を支援することを提案している。 こうしたモデルは、国際市場の開拓にもプラスとなるとされており、今後は中国のファッション以外の業界でも応用され、新たに活躍する企業が出てくるだろう。