発酵食品みりんの「甘美な」魅力! その優しい甘みと香りを、女性が食卓から社会とつながる活動につなげたい 設楽賀奈子さん
砂糖とみりんの違いとは?
――砂糖の代わりにみりんを使うということですが、砂糖とみりんの違いとはどのような点なのでしょうか。 設楽さん:まず、原料がサトウキビとお米というところが違います。 また、砂糖が精製食品であるのに対して、みりんはお米と米麹からできている発酵食品です。400年以上の歴史があるみりんですが、まだまだお米生まれの発酵食品であることは知られていないのが現状です。 甘みの強さの違いとしては、みりんの甘味度は砂糖の約3分の1です。しかし、みりんには米麹の力でお米が分解、熟成される過程でできた、多種多様な甘味や旨味、複雑な香りがあるので、優しい甘みでもしっかりとした甘さを感じられるのが特徴です。 お使いのみりんの蓋を開けて、香りを楽しんでいただくとわかるのですが、芳醇な甘い香りにほっとリラックスできる効果もあります。 「お菓子としてちゃんと甘いの?」と思われる方も多いですが、甘味がキーになるレシピには、半量に煮詰めて甘味や香りを強くした「みりんシロップ」を活用していることもポイントです。
優しくて穏やかな甘みと、艶っぽくて美しい香り⋯⋯みりんは「女性」
――長年、みりんに携わってきた設楽さんが思う、みりんの魅力とはどのようなものですか。 設楽さん:まず、砂糖を使わずに美味しいお菓子や料理を作れるので、脱砂糖ができることです。砂糖を控えたいけれど代わりに何を使えば良いのかわからないなど、「甘味迷子」の方は多いと思います。日本人なら自国のお米生まれの発酵食品みりんを甘味に選ぶという選択肢があるというのは大きな魅力です。 また、みりんはGI値が砂糖の約7分の1で、血糖値を抑制すると証明された研究結果もあり、体や心に優しい調味料という強みもあります。 また、みりんは「女性」らしい魅力があります。優しくて穏やかな甘みがあり、艶っぽくて美しい香りがするところがとても女性らしいと思うんです。 私はみりんを語る時に、「甘美」という言葉をよく思い浮かべます。「甘美」が意味する「ほどよい甘さやうっとりした気持ち」をみりんはまさにもたらしてくれます。特に、お米や米麹由来の複雑な甘い香りは、お米を主食とし、発酵食品に親しんできた日本人にとって懐かしい気持ちや癒し、安心感を得る香りとも言われます。 女性にとって、香りは癒しですよね。「#みりん女子会」では、みりんでお菓子や料理、パンを作ったり、みりんシロップを作る時間そのものにリラックスできるという声も多いです。 また、脇役だけでなく、実は主役になれる強さもあるところが、「凛とした女性」のようだと感じます。肉じゃがに入れると、「なんとなく美味しくなる調味料」程度に思われがちだったみりんが、その甘味や旨味、香りで洋菓子や洋食を美味しくする肝になるということが伝わると、余らせていて困っていたみりんが、なくてはならない存在へと皆さん変わります。 #みりん女子の皆さんからはストックがないと不安になると言ったお声がある程、お守りみたいな調味料になっている方もおられます。
構成・文/大槻由実子 編集/坂口彩
大槻 由実子