春の行楽シーズンを襲う「ホテル価格高騰」、3つの裏事情 東京や京都は1年で5割上昇、「値上げの弊害」も?
■旅行を敬遠し、ほかのレジャーを選ぶ動きも 東洋大学・国際観光学部の徳江順一郎准教授は、「ホテルの客室単価上昇が続くと、消費者が旅行に近い喜びを得られる代替財に流れる可能性もある」とみる。 高すぎる旅行を敬遠し、テーマパークや映画などほかのレジャーを選ぶということだ。実際、円安と物価高の影響で海外旅行が高騰したため、国内旅行を選ぶ動きはすでに起きている。 足元で起きているホテルの客室単価の上昇の多くは、体験価値の向上ではなく、市場の需給逼迫によって起きている。
徳江准教授は「値上がりをしても、泊まり続けてくれるファンの育成が大前提。会員向けの値下げや客室のグレードアップをするなど、顧客満足度の向上を続ける必要がある」と指摘する。 直近ではコロナ禍で行えていなかった大型改装に踏み切るホテルなども増えている。ホテル各社には消費者に客室単価上昇を納得してもらうための、体験価値の向上が求められる。
星出 遼平 :東洋経済 記者