茂木健一郎「整理整頓がうまい方は…」断捨離・整理整頓のコツを脳科学の視点で解説
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。 今回の配信では「整理整頓」に関する質問に答えました。
<リスナーからの相談>
私はなかなか断捨離ができず、自分のワークスペースを整頓して有意義に活用することができません。散らかった部屋を見て構想は練るのですが、なかなか体が動かず途方に暮れる毎日です。どうすれば断捨離ができるのでしょうか。
<茂木の回答>
茂木:断捨離がなかなかできないお気持ちはわかるのですが、おそらく脳のなかの優先順位が違うのですね。僕も比較的ワークスペースの整理整頓はやらないほうです。なぜかというと、物の整理整頓よりも記憶の整理整頓というか、頭のなかでいろいろ整理したり、何かを思いついたりするほうの優先順位が高いからです。僕の場合はそうなのですが、あなたはどうなのでしょうか。 基本的に脳は喜びを感じない方向には行かないので、「整理整頓をしないと喜びを得られない」みたいなことをすると、必ず整理整頓をするようになります。整理整頓がうまい方は、やることで脳が報酬系、ドーパミン系が活動して、脳が喜んでいる状況です。 なので相談者さんも整理整頓をするときは、必ず好きな音楽をかけながら整理整頓すると、脳のなかで結びつきができます。脳にご褒美をうまく使ってやると、体が動くようになりますよ。 そのことに関係するのが、片づけコンサルタント・こんまりさんこと、近藤麻理恵さんの「“ときめき”があるものを残す」という、こんまりメソッドです。僕はこんまりメソッドの深いところは、片付けをすることでときめきに出会える点だと思っています。つまり、片付けという行為が、ときめきという脳のご褒美と結びついている。これがこんまりメソッドの深いところであると僕は思うのです。ですから、こんまりメソッドから連想するならば、相談者さんが片付けでときめけばいいのです。 ときめきと結びつけることによって部屋の断捨離ができて、気持ちがいい。こういう成功体験をすることで脳の回路が変わりますし、部屋の整頓を継続することも可能になります。とりあえず、明日から騙されたと思って好きな音楽を聴きながら部屋の断捨離をしてください。 また、整理整頓をしているとき以外はその音楽を聴かないようにすれば、聴くために断捨離や整理整頓をしなければならなくなります。脳科学者はそういう形で、あまりやりたくないことをやるように導いております。もしよければご参考にしていただけたらなと思います。 (「茂木健一郎のポジティブ脳教室」配信より)