パチンコ開発者が「業界の裏事情」を暴露。パチンコ業界の衰退を“食い止めるための方法”はあるのか
液晶の開発だけでかかる金額は
――次に費用面についてお聞きしたいのですが、一台のパチンコ台を作るのにも相当なお金と労力がかかると思います。できあがるまでの流れや期間を教えてください。 Aさん:ざっくり説明しますと、マーケティング、分析、版権確認、予算計上、開発という流れですかね。費用は液晶機の開発だけで5億~7億円ほどかかります。機械制作が完了したらスペックや演出を確認する機関へ申請し、適合したら各地方への検定で許可をとる、というのが一連の流れです。ちなみに期待の大きい機械は、本命スペックが適合するまで何十回も申請します。申請1回につき、150万円ほどかかるので……。計算するとぞっとしますね(笑)。液晶機ならここまで平均2年くらいです。 ――期間や開発費の莫大さにびっくりしました……。業界ではたびたびスペックや規則変更等業界のルールに変更がありますが、開発途中で変更になった場合、作り直すことはありますでしょうか。 Aさん:めちゃくちゃあります。規制が厳しくなる場合、規制前に発表できれば「ギリギリ強いスペックの機械を発売できる」ということになるので、規則変更はチャンスにもなるんです。反対に仕様が現状より良いものが解禁されれば、完成していても、新しい規則のスペックに作り直すこともありますね。
開発したのに“お蔵入り”になってしまうケースも
――ちなみにお蔵入りになった機種はありますか? Aさん:私が担当した機械ではお蔵入りは出ていないのですが、時々話を聞くことがあります。お蔵入りの原因は内容が目標のクオリティに達しなかったり、お金をかけすぎて途中で損切り……というパターンが多いですかね。 ――自分が関係した機械の稼働や売れ行きが給与に反映されることはございますか? Aさん:前の質問でもお話しましたが、各メーカーで重視するところが違います。私が現在勤務している会社は稼働重視です。売れ行き重視だと営業、稼働重視だと開発の評価が上がります。そうなると手当が出る事が多いので、とにかく自分が担当した機種からヒット作を出したいですね……。