存在感を増す三浦健人、役者デビュー10周年 藤井道人監督との出会いでは印象的な学び
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 役者デビュー10周年を迎えた俳優三浦健人(28)が存在感を増してきている。 今年2月に行われた24年度エランドール賞では、期待の若手俳優に贈られる「アクターズセミナー賞」を受賞。11月15日には出演映画「他人は地獄だ」(児玉和土監督)、12月には「はたらく細胞」(武内英樹監督)公開が控えるなど活躍の幅を広げている。 高卒直後に人気劇団PU-PU-JUICEの門をたたき、2017年の舞台「竜馬を殺す」で主演としてデビュー。「あの頃は何もわからなくて、右手と右足が同時に出るような状態でした」。劇団旗揚げメンバーの1人である山本浩貴(47)らは「師匠」といい「本当に素人状態から鍛えられました」と振り返った。 2022年に出演した短編映画プロジェクト「ミラーライアーフィルムズ プロジェクト シーズン4」出品の「名もなき一篇」での藤井道人監督との出会いでは印象的な学びがあった。「芝居と演技という言葉があると思うのですが、良いお芝居をする人は才能のある方。演技をする人は技でうまく表現する方。僕は“演技”をすることにとらわれていて、ある時藤井監督から『もう健人に技術があるのはわかったから。演技が見たいわけじゃなくて、ただその場にいてほしいだけなんだよね』と言われたんです。僕は演技ばかりやっていて、役としてその場にいなかったなと気づきました」。 その後も「お芝居は練習すればうまくなるもんじゃない。今でももがき苦しんでいます」と笑うが、今度公開される「他人は地獄だ」でこれまでとは違う感覚を覚えたという。物語のポイントとなる重要な役を演じており「ひとつ殻を破れたような、今までと違うものが出たなと感じられた作品でした。それ以降、演技をすごく楽しめるようになりました」。 クールな顔立ちから犯罪者役などを担うことが多いが、小学生の頃からノートにお笑いのネタを書き留めるなど、お笑い芸人を志した時期もあった。高校3年時には俳優を目指すことを決めていたが、「せっかくここまでやってきたので、思い出という意味合いも込めて」当時コンビを組んでいた友人と大手事務所のオーディションを受け、見事合格。気持ちは揺れたが俳優の道へとまい進した。 来年は初主演映画公開や主演舞台なども控える。「アクターズセミナー賞」受賞は「良いプレッシャーになっています。あれは審査の時にうまくできただけだと思っているので」と笑う。「タイプ的にもいつか大河ドラマに出てみたいなと思っています」と目標も口にし、「芸人を目指していたのでコメディー作とかもやってみたいですね。自分にしかできないことも出していきたいですね。同じ事務所の先輩の竹中直人さんや佐藤二朗さんのような、何でもこなせる俳優を目指したいです」と力を込めた。【松尾幸之介】 ◆三浦健人(みうら・けんと)1996年(平8)3月21日生まれ、東京都出身。高卒後から芸能界入り。22年映画「ブラックナイトパレード」、24年NHK連続テレビ小説「虎に翼」、同年日テレ系「厨房のありす」などに出演し、今年も10月配信開始のAmazonプライムドラマ「愛のあとにくるもの」「龍が如く~Beyond the Game~」など出演多数。特技はキックボクシング、アクション、殺陣。174センチ。