『マイホームヒーロー』佐々木蔵之介 『きのう何食べた?』内野聖陽…秋ドラも“おじさん俳優”に胸アツ!
これまでどんな役でも色気を放出していた
安田 顕自身は三好、つまりチャラおじさんというキャラについて「これまであまり演じたことのない役」とコメントしていますが、横長で大きい黒目がちの目とヒゲの濃さから、これまでもどんな役を演じている時でも色気を放出していました。 彼はすでに相当数の作品に出演していて演技力にも定評がありますが、筆者が初めて彼をハッキリ認識したのは、『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(TBS系)で海野亮太という「病を処方する医師」を演じていた時。得体の知れなさ、不穏な雰囲気の出し方がうまく、ただでさえクセが強いキャラばかりの話の中でも強い印象を残していました。 『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)ではゲイのパティシエという役で、話し方やフェミニンなファッションがごく自然で、本当にそういう人のように見えていたので、この俳優さんは演技が本当にうまいなと感心。 比較的最近のドラマ、『絶叫』(WOWOW)で演じていた、裏稼業を牛耳っている神代武も、行き場のない主人公を好きなように扱うひどい男なのだけど、どこか憎めない雰囲気と、そしてやはりとてつもない色気を放っていて非常に説得力がありました。 他にも鬱になった将棋の棋士という難しい役から、アプリで呼び出せる謎のおじさんというよくわからないキャラクターまで、演じた役そのままに見える安田 顕には、今後も期待しかありません。 ドラマ自体は、年齢だけで簡単にカテゴライズされる女性の生きづらさや、変わりたいと行動していく朱里の奮闘もしっかり描かれていて、見る人を毎週元気にしてくれています。
◆『きのう何食べた?』の西島秀俊、内野聖陽
この作品の成功は、西島秀俊、内野聖陽のキャスティングに尽きる! お次は『きのう何食べた? season2』(テレビ東京系)。筆者も元々のマンガ原作を愛読していた口で、ドラマ化、スペシャル版、映画化と進んでいく間、ずっと好きで応援していました。 西島秀俊さんと内野聖陽さん(以下敬称略)という二大俳優のハマり具合、周囲のキャラの原作とのリンク具合、すべてがうまくいっている稀有なドラマで、season2製作決定のニュースが流れたとたん、あちこちで歓喜の声が上がりました。 すでに膨大な数の感想や解説が登場していますが、今期のドラマの“おじさん俳優”と言ったらやはり外すわけにはいかない! とエントリー。ふたりの俳優両方の過去作に触れているといくらスペースがあっても足りないため、ここではこの作品についてのみご紹介します。 物語は、弁護士の筧史朗・通称シロさん(西島秀俊)と、美容師の矢吹賢二・通称ケンジ(内野聖陽)、市井に暮らすゲイカップルの、なんてことない日常のエピソードが描かれるという、知らない人が聞いたらなぜそこまで人気なのかわからないくらいに地味な設定。鬼も巨人も出てこないし転生もしない、スポーツで勝ち上がっていくこともありません。 ですがこの物語には、毎日の家ご飯を考えたり作ったりする際の楽しさ、それを大好きな人と一緒に食べる時間の大切さや、時々小競り合いはあっても、元々は他人だった人と生活していく上での喜びといった、日々暮らしていくことの愛しさが詰まっています。 この作品の成功は、何よりも西島秀俊、内野聖陽のキャスティングに尽きる! と今となっては思うのですが、一番初めにドラマ化が決定し、ふたりの出演が決まった際には、西島秀俊はイメージ通りである意味想定内だけれど、ケンジが内野さん!? とややとまどったものです。それまで彼の演じてきた役柄のイメージでは、“武骨で男くさい”印象が強かったですからね。