「世界最高のウイスキー」を数多く作り出した蒸留所、ヘブンヒル
すばらしい製品を幅広い価格帯で提供
全体的に見て、今年もこの家族経営の蒸留所にとって当たり年となっている。サンフランシスコでの成功の後、6月には「Grain To Glass(グレイン・トゥ・グラス)」シリーズの新作3種を発表。エライジャ・クレイグは直近の7月に「Toasted Rye(トーステッド・ライ)」をデビューさせた。いずれも広く批評家の称賛を浴びている。 この継続的な称賛には、マスターディスティラーであるコナー・オドリスコルの揺るぎない熟練の技と、質の高い熟成に毅然と取り組む姿勢が大いに関係している。1935年にシャピラ家によって創立されて以来、それはブランドの品質証明となっている。そしてその実践は、今日の200万樽を超えるストックに適用されているのだ。 しかし、2024年のヘブンヒルに関して我々が最も称賛することは、これほどすばらしい製品をこれほど幅広い価格帯で提供しているという事実だ。すなわち、前述のダブルゴールドを受賞したエヴァン・ウィリアムズのボトルド・イン・ボンドは、1本18ドル(約2600円)程度で販売されている。今年3月上旬、ヘブンヒルは自慢の「Heritage Collectio(ヘリテージ・コレクション)」の最新作を発売。18年という長期熟成したこの見事なバーボンは、エヴァン・ウィリアムズにキャラメルのような甘さを与えているのと同じトウモロコシを多く配合するマッシュビル(穀物配合比率)を使用しており、1本299ドル(約4万3000円)という希望小売価格をものともせず、店の棚から飛ぶように売れている。 そして言うまでもないことだが、Old Fitzgerald(オールド・フィッツジェラルド)は、半年に一度(毎年春と秋)のリリースを誇示するブランドであり、二次市場ではしばしば4桁(数十万円)の値が付くこともある。2023年秋にリリースされた同ブランドのボトルド・イン・ボンドは8年熟成を謳い、今年のサンフランシスコで最も重要なダブルゴールドを獲得した数少ない選り抜きのバーボンの一つだ。現在は1本400ドル(約5万8000円)を超える程度の値段で販売されている。ダブルゴールド受賞のニュースが出た後も、それに近い値段が維持されることを願うばかりだ。
Brad Japhe