推し活の定番「アクスタ」を作ってみた。宝塚、何度も経験した退団の千秋楽。「推し」が力になるように、ファンの方も力をくれる
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第70回は「推し」と「贔屓」と「推し活」のお話です。 (写真提供◎越乃さん 以下すべて) 【写真】かわいい越乃さんが日本酒と絡んで。ランチショーのときに販売したアクスタ * * * * * * * ◆推し活の定番「アクスタ」 今流行りのアクスタを作ってみました。 小さな私の分身を。 推し活の定番であるアクリルスタンドは、飾ったり、お出かけに連れて行って写真を撮ったりして楽しむもののようです。 大きな私が小さくなったところで誰がもらってくれるのだろうか… と、限定50体で作ったところ、予想に反し小さい越乃はあっという間に旅立って行きました。 早速皆様が私と戯れてくださり、公式LINEに続々と写真が送られてきます。 なるほど、こうやって使うものなのか…。 「推し」という言葉はいつから流行り始めたのか。 今ではすっかり市民権を得て、たくさんの人が推し活に勤しむ時代になりました。
◆「推し活」とは 先日、久しぶりに宝塚を訪れました。 ちょうどその日は花組の千秋楽で、トップスターの柚香光さん、娘役トップの星風まどかさんの退団の日でした。 劇場周辺はファンの方達で溢れ、千秋楽独特の雰囲気に包まれていました。 何度も経験した退団の千秋楽。 みんなで一つになって退団者を送ります。 退団者や皆様にとって幸せな良い千秋楽でありますようにと、そんな光景を見ながら思いました。 推し活は、「推し」の人生に自分の生きがいを見いだす行為でもあります。 トップさんは、どれだけの人の人生の活力や、希望になっているのでしょう。 トップさんだけでなく、推してもらっている人間は、その熱量に負けないパワーで、魅力的な存在として人に希望を与え続けなくてはいけません。 芸を磨き、自分を磨き、人を魅了するのが押される側の務めです。 私も推してもらっている人間ですが、その想いに力をもらい、元気をもらい、希望をもっています。 「推し」の存在自体が活力なのかもしれませんが、「ファンの方」の存在は同じように活力になっています。 ファンの方のそんな想いを一番感じたのは、退団の日の千秋楽でした。 退団の日の劇場の空気や拍手の温かさは10年経っても忘れることはありません。 幕が開いた瞬間から熱いものを感じ、それに負けないようにという思いと、それに乗る感じと、ことあるごとに涙が出そうになるのをグッと堪えていました。 紋付袴姿で外に出たとき、待ってくれているファンの人達の顔を見た途端、止まらなく流れた涙。 そんな千秋楽の日の事を思い出しました。