ホンダの型式指定申請における不適切事案---のべ34車種、現行販売車種では確認されず
ホンダは、1月26日に国土交通省より型式指定申請における不正行為についての調査指示を受けて社内調査を実施し、その結果、ホンダが過去に販売した四輪車について、型式指定申請時の認証試験に関する不適切な事案があったことを確認し、5月31日に国土交通省に報告した。 【画像全2枚】 なお認証試験に関する不適切な事案はあったものの、ホンダでは社内で技術検証や実車試験などを行ない、規定された法規基準は満たすことが確認できているという。そのためホンダでは、対象車種を使っているユーザーは、使用継続に関して何らかの対応の必要はないとする。現行販売および今後販売を予定している四輪車の認証試験における不適切な事案は確認されていない。 不適切な事案があったのは、トヨタ自動車が過去に販売した四輪車について、型式指定申請に必要な(1)騒音試験、(2)原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力および定格出力試験、(3)原動機車載出力試験(ガソリン機関)。これらの試験で、試験条件の逸脱や、試験成績書に実測値と異なるデータを記載するなどがあった。 (1)騒音試験における不適切事案 2009年2月~2017年10月に実施した騒音試験において、試験車両の重量設定について、法規の規定範囲を超えた重量で試験を実施(試験条件の不備)と、試験成績書において、実際に試験を行なった車両の重量とは異なる規定範囲内の数値を記載(虚偽記載)があった。該当は22車種。 いちど試験を実施した後に設計変更などに伴い車両重量が変化すると、再試験の可能性がある。虚偽記載の理由は、再試験の可能性がある場合、車両重量を法規より厳しい条件に設定して試験を行なえば、騒音性能は保証できると解釈し、再試験の工数を増やさずにすむと考えたため。 (2)原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力および定格出力試験における不適切事案 2013年5月~2015年6月に実施した原動機車載出力試験、電動機最高出力および定格出力試験において、試験結果の出力値およびトルク値を書き換えて試験成績書に記載した(虚偽記載)。該当は8車種。 虚偽記載の理由は、試験結果の追加解析の発生を回避しようとしたため。試験結果が、同一諸元の原動機や電動機を搭載する機種の諸元値に未達または過達の場合、追加の解析が発生する可能性がある。試験結果の数値が諸元値に対する差がわずかだった場合には、性能のばらつきの範囲内であると考え、既に認証を取得している機種の諸元値に書き換えることで、追加解析の発生を回避した。 (3)原動機車載出力試験(ガソリン機関)における不適切事案 2013年4月~2015年1月に実施した原動機車載出力試験において、法規では発電機を作動させた状態で試験を行うべきところ、作動させずに実施し、別の同一原動機試験で得られた補正値を用いて数値を算出し、これを発電機を作動させた状態と同等の試験結果とみなした(試験条件の不備)。4車種が該当する。 この試験では、発電機を作動させた状態での測定が試験条件であることが、試験マニュアルに規定されていなかった。補正値を用いて算出した数値が、定められた条件での試験結果と同等であるとみなし、工数を増やさずにすむと考えてしまった。
レスポンス 高木啓