【ドラフト家庭の事情】広島1位・佐々木泰の父は会社社長 熱を入れた息子の野球応援が「2億円」の事業に化けた
チームに依頼されて野球用具を作ってみたら…
「土日の活動だけでは勝てるようになりません。ピッチングマシンをもう1台導入して、チームの子供たちが毎日練習できるように場所を開放したんです。人数が増えて手狭になったものだから、隣に借りていた駐車場スペースにもネットを張り巡らせて、夜も使えるように照明を設置。ホワイトボードに選手の名札を張って、みんなが練習できるようにローテーションのメニューを考えたことも。素人ながら子供たちにアドバイスをしたこともあります(笑)。土日の活動は応援のみにとどめましたけどね」 練習場の運営はすべて自己負担。この野球熱が会社経営に転機をもたらすことになる。小野野球少年団のコーチから用具を移動させるためのラックの製作を依頼されたことがきっかけだった。 「試しに作ってプレゼントしたら『これは売れるんじゃないか』と。初めてインターネット販売を利用したら手応えがあった。以来、息子の試合観戦で球場に行くたびにアレは作れる、コレならできるだろうと観察してひらめきを持ち帰り、次々に製作していきました。これが面白いことに、野球グッズからスタートしたオンライン事業は今では約2億円規模に膨らみ、会社のひとつの柱になったんです」 盤石の体制の中で佐々木はすくすくと育ち、岐阜ボーイズを経て大本命だった県岐阜商高へ進学。練習場を使う頻度はめっきり減ったが、純子さんは朝4時起きで弁当を作ると、車で約30分の距離にある学校へ送り、貴さんは22時ごろに終わる練習に合わせて学校へ迎えに行くなどサポートを惜しまなかった。 父作の練習場を原点に広島から最高評価を受けてプロ入り。家族の絶え間ない情熱が結実した。 ▽佐々木泰(ささき・たい) 2002年12月24日、岐阜県大垣市生まれ。小野小、東中、県岐阜商高を経て青学大に進学。同大では主将を務め、通算91試合で打率.242、12本塁打をマーク。趣味はサウナ、好きな食べ物はラーメン。右投げ右打ち。身長178センチ、体重82キロ。