【貯蓄は使い切らない方がいい?】定年後に小料理屋を営むため、貯蓄の「1500万円」をすべて使う予定です。危険でしょうか?
定年後に「自分の店を持ち、理想の働き方で生きがいを感じながら老後生活を送りたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。 一方で自分の店を開業する場合、ある程度多くの資金が必要です。定年退職後は今よりも収入が減る可能性が高いため、生活資金も視野に入れてお金を使わなければなりません。 そこで今回は、定年後に飲食店を開業したときにかかる費用とその内訳について詳しく解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
開業にかかる費用と内訳
日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」によると、2022年の開業費用の平均値は1077万円、中央値は550万円とのことです。さらに開業費用の内訳を見てみると、500~1000万円未満が最も多く28.5%、次いで250万円未満(21.7%)、250~500万円未満(21.4%)と続くことが分かります。 開業資金が500万円未満と回答した方は全体の4割以上を占めており、前年の2021年に比べて、250万円未満で開業している割合は増加傾向にあるようです。 ただしこの調査結果はすべての業種に対する結果なので、業種によって開業費は異なることに注意しましょう。 次に、開業にかかる費用の内訳を見てみましょう。 ■店舗契約(取得)費用 飲食店を開業するには、店舗の契約(取得)が必要です。店舗の契約には以下の費用などがかかります。 ・保証金または敷金 ※退去時に返金となる場合もある ・礼金 ・仲介手数料 ・前家賃 ・造作譲渡料 保証金や敷金、仲介手数料などは、家賃の何ヶ月分、と計算されることが多いようです。 仮に契約する店舗の家賃が20万円の場合、保証金・敷金が家賃の6ヶ月分なら120万円、仲介手数料が家賃の1ヶ月分であれば20万円がかかります。ほかにも礼金や前家賃などの費用がかかるので、場合によっては数百万円の資金が必要になるケースもあるといえます。 ■設備・内装費用 飲食店を開業するには、調理に関する設備工事や内装工事が必要といえるでしょう。ガス工事や電気工事はもちろん、水回りの給排水工事や空調換気工事などの費用もかかります。 最近では、原材料やエネルギーの価格上昇、設備材料費の値上がりなどが影響しており、工事費用が高くなる傾向にあるようです。大きさやメーカーなどによって金額は異なるので、事前に見積もりして比較検討するといいでしょう。 ■備品購入費用 料理を出すための食器や調理器具、レジロールや包装紙などの消耗品をはじめ、大型の冷蔵庫やオーブンなどの電化製品まで、さまざまな備品の購入が必要です。 飲食店のイメージによって備品にかかる費用は変わりますが、テーブルやイスなどを一から購入するとなると、数十万~数百万円のお金がかかることもあるでしょう。中古品をうまく活用するなどして、なるべく費用をおさえたいところです。 ■開業後の運営費 飲食店の開業には、準備にかかる費用だけでなく、営業していくうえで必要なコストもあります。初めのうちは、開業資金から支払うことになるでしょう。以下は営業していくうえで必要なコストの一例です。 ・保険料 ・家賃 ・光熱費 ・食材費 ・備品代 ・人件費(従業員を雇う場合) 特に火災保険は、加入が義務付けられている物件が多く、火を使う飲食店では必須となる保険です。ほかにも製造物責任(PL)保険や賠償責任保険など任意で加入する保険もあるので、リスクに備えて検討しましょう。 これらの資金は継続的にかかる費用なので、開業してからの支払いに困らないためにも、数ヶ月分は用意しておくと安心です。そのため、開業資金の1500万円を準備の段階で使い切るのはおすすめしません。お店を運営する費用として、ある程度の資金を手元に置いておきましょう。