妻に電話で弱音「もう辞めたい」 異色の転身遂げたJリーガー…無縁の業種で生きる武器【インタビュー】
「全く違う世界に羽ばたいてみるっていうのは、選択肢としてめちゃくちゃアリだなと思います」
舩津氏は2009年、JFLからJ2に昇格した富山に入団し、プロとしてのキャリアをスタートさせた。2012年にC大阪に期限付きで移籍し、初めてJ1の舞台へ。1年で富山に戻ると、山形へと移籍した2014年にはJ2からJ1への昇格を経験した。翌2015年には1年でのJ2降格、群馬での2017年にはJ3降格の憂き目も味わった。14年間の現役生活でJ1、J2、J3とJリーグの3カテゴリーすべてでプレーし、最後は自ら引き際を決めることもできた。 「負けん気というよりも、やり続けていたらいつか成功する、神様は見てくれていると思っているタイプなんです。良いことをしていれば、それが未来につながってくるだろう、と。サッカーで培ったものは、人間関係ももちろんそうですし、今まで続けてきた努力や成功体験っていうのは絶対に社会に出ても生きると思っています」。現役時代に愚直に続けていたことは、社会に出ても必要な能力だった。そういう側面で言えば、アスリートの持つ武器は“強い”とも感じた。 舩津氏自身も現役時代は漠然とサッカー関連の仕事に就くことを思い描いていた。「サッカー選手って考えている、見えている世界が狭いので、自分も引退後はサッカー以外考えられないっていう感じでした。サッカーの指導者になるためにB級ライセンスも取りましたし、サッカー系で働くんだろうなってぼんやり勝手に思っていました」。全くの異業種に飛び込んだのは「サッカーだけしてきた人生で、違うことをしないといけないなとも思っていた」からだった。 新たな仕事を通じてさまざまな人に出会い、会話をすることも多くなった。これまで知らなかった世界に触れ、視野が広がっていっているというのも実感としてある。だからこそ、今後、セカンドキャリアを迎える現役選手たちに、こうメッセージを送る。 「サッカーから離れたからこそ知ることのできた職業とか業種ってめちゃくちゃありました。違う世界を見てみると、いろんな方がいて、いろんな仕事がある。すごく視野が広がりました。サッカーだけじゃないって思えるようになりましたし、サッカーの良さはもちろんあるんですけど、全く違う世界に羽ばたいてみるっていうのは、選択肢としてめちゃくちゃアリだなと思います」 [プロフィール] 舩津徹也(ふなつ・てつや)/1987年2月9日、大阪府出身。立正大淞南高ーびわこ成蹊スポーツ大ーカターレ富山ーセレッソ大阪ーカターレ富山ーモンテディオ山形ーザスパクサツ群馬ーFC岐阜。Jリーグ通算356試合19得点。2022年で現役を引退。現在は資産形成コンサルタントとして投資信託などを中心に、資産形成のコンサルティングを行っている。
福谷佑介 / Yusuke Fukutani