米カリフォルニア州では「知性の高い生物」であるタコの養殖が違法に
倫理と環境のために「タコ禁止」 「日本人は──そしてスペイン人も──タコが大好きだ。大阪ではたこ焼きが人気だし、東京の小さな居酒屋では、タコの唐揚げや刺身が食べられる。スペインのガリシア地方では、茹でた触手をパプリカで味付けしたポルポ・ア・フェイラが文化として深く根付いている」 タコ愛が深すぎる飼育員が熱弁「タコと向き合うことは、己と向き合うこと」 そう報じるのは、米紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」だ。同紙によれば、日本におけるタコの総輸入量(1万トン以上)の約40%を占めるのは、モーリタニア産のものだという。そのため、同国ではタコのことをフランス語でもアラビア語でもなく、日本語で「タコ」と呼ぶ。そして最高基準値を満たすタコは「ジャパン・クオリティー」とされるそうだ。 海外でも報じられるほどのタコ好き国家として知られる日本だが、そんな私たちからすると驚きともいえる新法が米国で成立した。 「ギャビン・ニューサム州知事は、カリフォルニア州で食用のタコを養殖することを犯罪とする、超党派の法案に署名した」と報じるのは米紙「ロサンゼルス・タイムズ」だ。 2025年1月1日から施行されるこの新法により、カリフォルニア州内の水域、あるいは養殖槽でタコを飼育・繁殖することは違法となる。また、産地がどこであろうと、経営者などが食用に飼育されたタコの販売に関与することも禁止されるという。 ロサンゼルス・タイムズによれば、法律の条文では次のような指摘がされている。 「タコは非常に知的で好奇心が強く、問題解決能力の高い動物であり、意識があり、痛みやストレス、恐怖を感じる。また、喜びや平穏、社会的絆を経験する。さらに、この8本足の海洋無脊椎動物は長期記憶を持ち、個々の人間を識別する能力を持つことも、研究によって証明されている」 つまり、知性が高い生き物であるタコを食用に養殖することは残酷なため、新たな法律で規制されるということだ。 また、米メディア「NBC」によると、タコの養殖が環境にも悪影響を及ぼすことが理由として挙げられている。「養殖施設は窒素やリンを流出させる危険性があり、水質汚染や藻類の大発生につながる可能性があるため、カリフォルニアの海洋生態系に壊滅的な打撃を与えかねない」という。 なお、タコの養殖を禁止する州は、ワシントンに次いでカリフォルニアで2州目だ。同じ法案が米国上院とハワイ州にも提出されている。
COURRiER Japon