恒星は渦巻銀河の腕と腕の間「スパー構造」でも形成、ウェッブ望遠鏡で確認
渦巻銀河の構造の特徴と星形成
結論としては、星形成と銀河の構造は、これまで考えられていたより少し込み入っているようだ。 典型的な一例を挙げると、北天の星座さんかく座の方向約270万光年の距離にある羊毛状渦巻銀河、さんかく座銀河(M33)だ。さんかく座銀河が「羊毛状」に分類されるのは、渦状腕が不明瞭で、少しふわふわしているようにも見えるからだ。 それに対し、天の川銀河にある4本の渦状腕は、より輪郭がはっきりしていると考えられる。 銀河の分子雲で星がどのように形成されるかに関しては、どうだろうか。 ■始まりはただの塵 塵は、大質量星が寿命の最後に超新星爆発を起こす際に形成されると、ウィリアムズは説明する。塵は、化学反応が起こる場所を提供する。つまり基本的には、塵に物質が付着し、化学反応が起こる。そしてこれが積み重なり、巨大な分子雲が形成される。 ウィリアムズによると、ウェッブ望遠鏡の観測波長域では、銀河の中で最も若い恒星が生まれている領域を実際に見つけることができる。これらの恒星は、誕生からまだ100万年も経っていないという。 ■大量の最新データ ウィリアムズによると、研究チームは2組の観測データを収集している。1つはプロジェクトの初年度に観測した19銀河のデータで、もう1つは2年目以降に観測予定の55銀河のデータ(これまでに約10銀河の観測が完了)だ。これにより、渦状腕の間にあるスパーのカタログ化に着手できるという。 ウィリアムズと研究チームは、最終的に70銀河以上の観測データの宝の山が得られれば、銀河の星形成の最初期段階を捉えて、近傍銀河の集団の中でどのような違いがあるかを突き止めることができるはずだ。 銀河の仕組みは本当に解明されているのだろうか。 銀河の構造がどのように形成されるかや、それが現在進行中の星形成活動にどのように影響するかに関しては、まだ研究を重ねる必要があると、ウィリアムズは指摘する。しかし今では、シミュレーション結果を最新の観測データに照らしてチェックできるため、理解がはるかに向上していると、ウィリアムズは話している。
Bruce Dorminey