小林幸子が語る芸能生活60年 ラスボス、さちぴ、ボカロにAI「今後も面白くなりそう」
■AIで作った10歳の自分と共演
その後は「とまり木」「ふたたびの」「もしかして PART II」「雪椿」など数々のヒットを飛ばし、日本を代表する歌手になった。今夏には新橋演舞場で60周年公演を開催した。
「そこにAIで作った10歳の私が出てきたんですよ。『これからの私、どうなるの?』って聞かれたときに、迷わず『引き返すなら今よ』って言っちゃいました(笑)。売れなかったし、お金もなかったし、新潟地震(64年)で家が大きな被害にあったり大変なこともあったけど…。ブレなかったのは『歌が好き』ということ。あと何年したら売れるかも誰にもわからない中で、やめずに続ける自分を選んできたのは、歌が好きだから。好きがあれば、どんなこともはね除けていけると思うんですよ」
どんなジャンルでも歌いこなす実力も苦労の中で培われた。
「キャバレーから仕事をもらったときに、『15歳』って本当の年齢を答えたら仕事がなくなったんで、次からは『18歳』って答えるようにして(笑)。ジャズなんか歌ったことないのに、聞かれたら『歌える』って答えて。耳コピで覚えるのは大変だったけど、その経験が今『ブルーノート』などでジャズライブをするのに生きてきている。だから『できません』とは言わないんです」
これからも歌い続ける
その内側には、何歳になっても新しいことを面白がれる好奇心が潜んでいるようだ。
「ネットの世界に初めて行ったときは『どうして?』と蔑んだような言い方をする人もいました。だけどせっかくチャンスをいただけるならやってみないと。3年前に始めたYouTubeでも人生初めてのアルバイトを経験したりして、今が一番楽しいですね。もうそろそろ自分のやりたいことを、人にお伺いを立てずにやっていい年齢なので。面白がるのっていいじゃないですか、誰にも迷惑かけませんし。お陰さまで声も出ますし、これからも歌い続けていきたい。まだ情報解禁できないけど、今後も面白くなりそうなことをいくつかやりますので、楽しみにしていてください」