AI半導体市場を席巻したTSMC、単一の四半期ベースで最高実績
世界半導体ファウンドリ(委託生産)トップの台湾TSMCが史上最高の実績を上げた。「スーパー乙」と呼ばれたTSMCがサムスン電子・インテル(Intel)など競争会社の不振の中で半導体食物連鎖の頂点にある、代替不可能な「甲」の地位に君臨したという評価もある。 TSMCは7-9月期の売上が前年同期比36%増加した236億ドル(約3兆5400億円)を記録したと17日、明らかにした。営業利益率は47.5%を記録した。市場予想を超えたことはもちろん、ほぼすべての指標で単一の四半期べースで最高実績を記録した。 半導体業界ではTSMCが本格的な独走体制を固めたとみている。すでにエヌビディア(NVIDIA)をはじめ、アップル(Apple)・インテル・クアルコム(Qualcomm)・AMDなど主な半導体会社の注文を一手に引き受けて圧倒的なシェアを確保した。今年4-6月期のTSMCのファウンドリ市場シェアは62.3%だが、最先端3ナノメートル(10億分の1メートル)工程は100%に近いシェアを記録中だ。 スマートフォン時代の大漁アップルを捉えてファウンドリの先頭に立ったTSMCは人工知能(AI)ブームにも乗り遅れなかった。7-9月期需要先別売上比重でAI半導体(51%)は初めてスマートフォン(34%)を抜いて売上の半分以上を占める核心産業に浮上した。 特にエヌビディアの新しいAIチップ「Blackwell(ブラックウェル)」の1年分の供給物量が完売した程、上昇の勢いに乗っていて、これを独占生産するTSMCの実績は当面高空飛行を続けるものとみられる。 TSMCの魏哲家CEO(最高経営責任者)兼会長はこの日のカンファレンスコールで「AI発の需要は本物であり、ようやく始まったばかり」としながら自信をのぞかせた。TSMCを追撃したサムスン電子とインテルが最近技術リーダーシップを失って安定しておらず、再整備に突入した中で、TSMCはPC・スマートフォン・AI半導体を作るためにビッグテックが協力しなければならない唯一の選択肢に固まりつつある。先端半導体への供給が不足していることから、アップル・エヌビディアもTSMCとの交渉では厳しい駆け引きを強いられているという。生産物量の割当を少しでも多く受けようとしのぎを削っているためだ。これに対してTSMCは最近最先端工程を中心に半導体生産価格を8%ほど引き上げたという。魏氏は「来年の設備投資は今年よりも多い」としながら「インテルやサムスン電子など総合半導体会社(IDM)資産を買収する計画はない」と明らかにした。 今年に入ってTSMC株価は約75%上昇した。7月と今週には取引中に時価総額1兆ドルを越えてサウジアラビア国営エネルギー会社アラムコに続き歴代2番目に時価総額1兆ドルを突破した非米国企業として記録された。