<虎に翼>第1週で分かったこと ヒロインがよく使う「はて?」と“スンッ” 尾野真千子の語りは時に雄弁で多め 安定感抜群の伊藤沙莉
◇“スンッ”とした生き方はしたくない現代的な寅子
ヒロイン・猪爪寅子とはどんな女性なのか。改めて説明すると、大正3(1914)年、「五黄(ごおう)の寅年」に生まれたことから、寅子(ともこ)と名付けられる。女学校の卒業を迎えた年、お見合い結婚を勧める母親を振り切って、女性に法律を教える日本で唯一の学校への入学を決意。そこで出会った仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)し、やがて日本初の女性弁護士となる。世間知らずで自信家の所もあるが、全てに全力の人。弁護士として、裁判官として、一歩ずつ成長していく。あだ名は“トラコ”だ。
口癖は、疑問にぶつかったときに出る「はて?」。伊藤さんは以前、寅子のキャラクターについて「現代的で『なんで?』と素直に言える子」と語っていたが、この口癖は第1回で4回、第2回で1回、第3回で2回飛び出し、第4回はゼロだったものの、第5回でも1回使われ、第1週で計8回を記録した。
そんな寅子は、女性がやりたいことも、言いたいことも言えず、必死に家のことしても、重要な場面では男性の後ろに下がり、静かでいることを“スンッ”と表現。第4回の花江(森田望智さん)の結婚式のシーンでは、親友の幸せそうな姿を目にしながらも、“スンッ”とした生き方はしたくない寅子の胸中は、母が勧める結婚への疑問が渦巻いたまま。
「お母さんの言う通り、結婚は悪くない……とは思えない。なぜだろう? 親友の幸せは願えても、ここに自分の幸せがあるとは到底思えない。というか、何だ、したたかって。何で女だけニコニコ、こんな周りの顔色うかがって、生きなきゃいけないんだ? 何でこんなに面倒なんだ? 何でみんなスンッとしているんだ!? 何でなんだ!?」との“心の叫び”が話題となった。
ここでのモノローグは、寅子役の伊藤さんではなく、ドラマの語りを務める尾野真千子さんが担当。伊藤さんの演技とのシンクロ率の高さは目を見張るものがあり、だからなのか、第1週のナレーションパートは、時に雄弁で、文量も多めの印象を受けた。また初回の冒頭で、尾野さんが「日本国憲法第14条」を読み上げたのも、象徴的だった。
8日から始まる第2週「女三人寄ればかしましい?」では、晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子の姿が描かれるという。この先、どんな地獄が彼女を待ち受けているのか、引き続きドラマを楽しみたい。