広島ドラゴンフライズのドウェイン・エバンスが念願の優勝で流した涙の意味「喜び、安堵、興奮、愛とすべてが詰まっている」
「自分にとって、これ以上ない物語となった。正直に言って本当に感動している」
今回のファイナルは、エバンスにとっていろいろな意味で特別なシリーズだった。対戦相手の琉球は、日本での最初のシーズンとなる2020-21シーズンから2年間在籍した愛着ある古巣だ。ファイナルのコートに立つのは琉球時代の2022年に続く2度目となるが、前回は宇都宮ブレックスに連敗した苦い思い出しかない。 自身が加わる前から地区王者でリーグ上位だった琉球に対し、2022-23シーズンに加入した広島は前年まで勝率5割の中位チームだった。エバンスは「自分がチームをポシティブな方向に導く新しいチャレンジをしてきた」と、リーダーとしてチームを引っ張ることに取り組んできたと話した。 「自分にとってキングスは、もちろんただの相手ではないよ。沖縄で本当に素晴らしい2年間を過ごすことできた。そして広島に来た時、チームはアンダードッグだった。そういうチームがファイナルで彼らを破ることができた。自分にとって、これ以上ない物語となった。正直に言って本当に感動している」 「数年前、ファイナルに行ってブレックスに敗れ、こうしてファイナルに戻ってこられたことは特別だった。今回、チャンピオンシップを獲得することなしに帰ることはまったく考えていなかった。コートですべてを出し切り、チームメイトのためにできることをすべてやった。優勝できたことを本当に誇りに思う」 こう思いの丈を打ち明けた後、エバンスは感極まった。エバンスは「(この涙には)喜び、安堵、興奮、愛と全てが詰まっているよ」と語った。 エバンスといえば流暢な日本語に象徴されるように、日本への敬意を強く感じさせてくれる選手だ。「日本に来る前、正直に言って今の状況をまったく想像していなかった。日本語を話せるようになるとも、チャンピオンになれるとも思っていなかった。想像以上に素晴らしいことになっている」と、良い意味で想定外の事態になっていると明かしたエバンスは、改めて日本への愛を強調する。 「日本のことは大好きだ。この4年間、本当に素晴らしい日々を送れているし、これからも日本で過ごせたらと思っている。より文化を知り、この素晴らしい国で自分のエナジーを発揮し、コートでも成功を収めることができている。これ以上のことはないよ」 ちなみに今、彼が最も好きな日本語は『優勝』だ。さまざまな困難、新しいチャレンジの末につかんだタイトル奪取の喜びに今は浸ってもらいたい。
鈴木栄一