手術と診断書なしで「性別変更できる」国が増加中…日本人なら知っておきたい「トランスジェンダー問題」の現在地
日本で導入される可能性は
日本で「ジェンダー・セルフID制度」が制定される可能性について、斉藤氏はこう語る。 「今後、大事な鍵となるのは『差別禁止法(反差別法)』と『SNS対策法』です。日本にはまだ両方ともありませんが、現在、LGBT法連合会や日本学術会議などの組織が、性的指向や性自認に基づく差別などを禁ずる『LGBT差別禁止法』または、それらも含めて包括的に差別を禁止する『包括的差別禁止法(包括的反差別法)』の制定に向けて動いています。 『SNS対策法』は、プラットフォームの運営者に対して、24時間以内に差別的な投稿を削除することを求める法律です。2017年に成立したドイツでは、性自認の偏重に反対するような投稿が『差別的』だとして即削除されてしまい、いわゆるLGBT活動家による一方的な情報だけが拡散されることになり、『ジェンダー・セルフID制度』が導入されたという背景があるのではないかと、私は考えています。 なので、もしこの2つの法律が成立すれば、日本でも『ジェンダー・セルフID制度』の導入はあり得るでしょう」 すでに「ジェンダー・セルフID制度」を導入した国の中には、各自治体が独自に法改正などを行うケースもある。スペインのマドリードは「ジェンダー・セルフID制度」を無効化するように法律を改正した。 また、スペインの与党である社会労働党(PSOE)は国民からの反発を受けて、2024年12月に「トランスジェンダー女性の女子スポーツへの参加を禁止し、LGBTQ+からQ+を排除する」という方針を示した。 日本において、「ジェンダー・セルフID制度」の導入の動きは、まだはっきりとしていないが、誰もが自由に性別を変えられるということの意味を改めて考えるべきかもしれない。
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