米兵強盗事件の見舞金訴訟、最高裁が12月に判決 原告の敗訴維持か
沖縄県沖縄市で2008年にあった米兵2人による強盗致傷事件をめぐり、民事裁判で確定しても米側が払わない賠償金を負担するよう被害者側が日本政府に求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は27日、判決を12月16日に言い渡すと決めた。二審の判断を変えるのに必要な弁論を開かないため、国に支払い義務はないとした一、二審の結論が維持される見通し。 米兵2人は08年1月、運転手の宇良宗一(うらむねかず)さんを殴って重傷を負わせ運賃を支払わなかった。宇良さんが12年に63歳で病死した後に遺族が提訴し、米兵2人に計約2640万円の支払いを命じる判決が確定した。しかし米側が支払った見舞金は約146万円だった。 日米両政府が設置した「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」の最終報告は、米兵の公務外の事件事故について米側が払った見舞金が確定判決の命じた賠償額に満たなければ、日本政府が差額の穴埋めに努める、と定めている。 国側はSACO見舞金として約1590万円を払うと遺族側に伝えたが、支払いの遅れで生じる「遅延損害金」は金額に含まれなかった。遺族側は、国が遅延損害金を含めた額を支給しないのは違法だなどとして訴訟を起こした。 一審・那覇地裁は、遺族側が見舞金を受け取る承諾書を提出していない点から「国に支払い義務は生じていない」などとして訴えを退けた。二審・福岡高裁那覇支部も一審の判断を支持したため、遺族側が上告していた。(遠藤隆史)
朝日新聞社