【独占インタビュー】F1暫定首位・バルドラール浦安、小宮山友祐監督「負けたら、一瞬でひっくり返る。ここにいる以上、勝ち続けるしかない」14日、名古屋との超重要決戦へ。|フットサル
献身的に守れる選手がいないとチームは成り立たない
──リーグ中断前最後の立川アスレティックFC戦も6-0で完勝を収めました。中断期間が2カ月半と長いからこそ、あの試合で勝てたことも本当に大きかったのではないでしょうか? 立川に勝てたのは非常に大きかったです。結果がすべてだと思って臨んだ試合だったので、何点差でもいいから勝つために必要なことを準備しました。 ただ、シュート数は倍くらい打たれているんですよね。今シーズン、うちが相手よりもシュート数で上回られたのはあの試合だけです。立川には39本打たれていて、こちらは21本しか打てていなくて。数字だけ見たら「よく勝ったな」という試合でしたけど。まあでも、あの試合は攻撃面が目立ったスコアになりましたけど、個人的には地味なディフェンスが良かったなと思っています。 ──なるほど。打たれてしまってはいるものの、ファーへのパスコースだけはなんとか消せていたとか、DFが寄せてシュートコースを限定できていた、といった部分ですね。 そうですね。打たれてはいるけど、最後のところで体を投げ出せていたので。一番特徴的なのは田中(晃輝)、染野(伸也)、菅谷といった選手たちで、彼らはディフェンスでの献身性はありますよね。ああいう選手たちがいないとチームは成り立たないよなと、改めて思いました。ゴレイロにイゴールがいるから止められるんじゃなくて、イゴールが楽をできるようなディフェンスをすると、一番、安定感は増すよねと。 「最後の最後はイゴールがいてくれるから打たせていい」ではないんですよ、決して。まずはFP全員で100%、全力で守る。それでも40分のなかで、相手が苦し紛れに無理やり打ってきたシュートがたまたまスーパーなコースに飛んできてしまうこともあるじゃないですか。そこにイゴールがいてくれるっていうことの安心感。そっちだよと。 ──小宮山監督は現役時代フィクソの選手だったので、そういった部分はやはり特に大事にされているのではないですか? そうですね。それで言うと9節までを終えて、(全14失点のうち)相手のピヴォに反転されて3失点してるんですよ。実はこれが全失点パターンのなかで一番多くて。ここだけはどうにか、早急に改善したいなと思いますけど。もちろん、Fリーグにはいいピヴォがたくさんいるので、警戒していても反転されてしまうことはあると思います。難しいのはわかるんです。でも、「わかっていても」をやられてしまうチームはやっぱり優勝できない。わかっていることは全部つぶしていくことが、ここからは特に大事になると思います。 この中断期間に、浦安を引きずり下ろすためにいろんなチームが研究も対策もしてきていると思うので。それを上回っていくのはなかなか簡単ではないですからね。 ──「追われる側」になりますよね。 今まではずっと追っている側だったので、そこの難しさは必ず出てくると思います。 ──Fリーグ開幕からの数年間は名古屋と浦安が優勝を争うシーズンが続いていました。小宮山さんは当時、浦安の中心選手としてプレーしていましたが、その経験から選手たちに伝えられそうなことはありますか? あの頃はシト・リベラ監督の下でとにかくがむしゃらにやっていたという印象が強いです。そんな初年度を思い返すと、デウソン神戸あたりはすごくやりづらかったんですよね。正直、なにをしてくるかがわからなくて、それでいて1対1の能力がものすごく高い選手が多かったので。ああいうスタイルのチームに対して、自分たちは相性が悪かったんです。 そういううまくいかない時に、シト監督はだいたいすぐにパワープレーを決断していましたね。それですぐに点を取ってゲームをひっくり返して、という采配。当時、浦安には経験のある選手がたくさんいたからこそあのやり方が可能だったんだと思います。 でも、あれから20年近く経ってリーグのレベルも上がってきましたよね。どのチームもしっかりとしたプレーモデルがあって、それを貫いてくるチームがたくさんあるなかで、「これをやったら絶対に勝てる」という戦術は正直ないんですよ。 ──たしかに、パワープレー一つ取っても攻撃側が得点を決める確率は当時と比べて格段に下がりましたよね。昔は終盤に3、4点入ることも珍しくなかったように思います。 Fリーグができたばかりの頃は「守り方がわからない」というチームもあったくらいですからね。いまはリーグ全体のレベルが上がって、そういう必殺技のようなものが通用しなくなったからこそ、一つひとつ積み重ねていくことの大切さを、選手たちにはいつも伝えています。例えば、前半5分で1-0、前半10分で1-0、前半15分で2-0とか、ちょっとずつなんでもいいから積み重ねていく。勝利に近づくために。 そのためには点を取るのもそうだけど、「目の前の1対1に簡単に負けちゃダメだ」と。さっきのフィクソの話じゃないですけど、フィクソ対ピヴォなんて一番ゴールに直結する場所ですから、なおさらですよね。とにかくまず、目の前の1対1に負けない。 逆に、柴山(圭吾)とかには、「あなたが相手のフィクソから反転してぶち込めば、相手に与えるショックもデカい。逆にこちらは一気に勢いに乗れる。ピヴォが反転シュートを決めるのには、試合の流れをもってくる効果もあるんだよ」という話もしています。そういう“局地戦”で、どこまで相手を上回れるか。 ──局地戦で。なるほど。 はい。で、理想を言えば2点以上リードして終盤を迎えられたらいいなと思いますけどね。安心して見ていられるので。1点差とかもうドキドキしちゃって(笑)。パワープレーって先ほど話したように今は昔ほど入らないですけど、やられているとやっぱりソワソワしますよね。ボールをにぎられているし、打たれたらDFに当たって(コースが変わって)入っちゃうとかもあるので。やっぱり終盤に2点差でいけるといいなと。じゃないとやっぱり、ちょっと怖いですね。 ──試合で指揮を執る小宮山監督の様子を見ていると全然そうは見えませんが(笑)。 態度や振る舞いでは「いくらでも攻めてこいよ」くらいの雰囲気を出していますけど、内心は「やべー」って思っています。試合の終わらせ方ってすごく大事だなって。特に首位のチームは。1点差でも2点差でもいいから、最終的に勝ちをつかんでいく。後半戦はそこの勝負強さがより大事になってくると思います。 ──どれだけ勝点3を取りきれるか、それをいかに毎回積み重ねられるか。 そうです。だから唯一負けた第6節の湘南戦も、2-2の同点からこちらがパワープレーをして、あくまでも勝点3を取りにいきました。結果、取れずに返されてしまいましたけど、「今シーズンは優勝するために毎試合勝点3を取りにいくんだ」というチーム全体へのメッセージでもあったんです。全員が納得してトライしたことなので。 うまくいかなかったですけど、あれがあったからこそ「やっぱり勝つって大変だ」ということに改めて気づけた部分もあります。自分たちが首位にいる以上、当然どこのチームもこれまで以上にうちを倒しにくるでしょうし、そこで負けてしまったら、現在の勝点差的にも一瞬でひっくり返されるわけで。 勝ち続けるしかないんだよと。それって相当なプレッシャーではあると思うんですけど、そこにいられるのは首位のチームだけなので、この重圧を楽しんでいきたいですね。