親が「年金生活」になったら、子どもの「扶養」に入るとお得になるって本当?「年収400万円」の会社員のケースで検証
現役世代から退いて年金生活をしている親を自分の扶養に入れることができれば、税金や健康保険料を節約できる可能性があります。 物価高騰などで家計が苦しくなってきている中、こうした制度を活用できれば家計の助けになるでしょう。本記事では親を扶養に入れたらいくら節約できるのか具体的に試算し、注意点なども解説しますので参考にしてみてください。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
所得税・住民税の扶養控除を受けられる
親を扶養に入れると所得税は最大58万円、住民税は最大45万円の扶養控除を受けられます。 ■年齢によって控除額が異なる 扶養控除の金額は、親の年齢と同居の有無によって異なります。詳細は以下のとおりです。 【16歳以上70歳未満の場合※19歳以上23歳未満を除く】 ・所得税:38万円 ・住民税:33万円 【70歳以上で同居していない場合】 ・所得税:48万円 ・住民税:38万円 【70歳以上かつ同居している場合】 ・所得税:58万円 ・住民税:45万円 70歳以上の場合、同居しているかどうかで控除額に違いがあります。この同居は、1年以上の期間、病院に入院している場合でもメインとなる居所が同じ住居であれば適用されます。 一方で、老人ホームなどに入所している場合は、老人ホームが居所であると判断されるため、別居扱いとなり、同居している場合の控除金額は適用されません。 ■控除を受けるための条件 控除を受けるには、扶養しようとする親が、その年の12月31日時点で、以下の条件をすべて満たす必要があります。なお今回のケースは、親の収入は年金のみと仮定します。 ・6親等内の血族(祖父母、父母、子など)、または3親等内の姻族(配偶者の祖父母、父母など)であること ・生計を一にしていること ・年金収入が65歳未満で108万円以下、65歳以上158万円以下であること ・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、白色申告者の専従者でないこと 自分と配偶者の両親、子どもは1親等、祖父母や兄弟は2親等、叔父や叔母は3親等のため、親であれば該当するでしょう。 生計を一にするというのは、同居しているかどうかだけで判断されません。個々の事情により別居している場合でも、仕送りをしたり生活の世話をみていたりするなどの状況であれば生計を一にしていると判断されます。 ■具体的にいくら節税できるの? ここでは、課税所得が400万円の会社員が、親を扶養に入れる場合、所得税と住民税がいくら節税できるのか簡単に試算してみます(図表1)。 所得税は、先に説明した扶養控除額に、課税所得400万円の所得税率20%、住民税は10%を掛けることで節税額が算出できます。 図表1