中国政府が不動産開発大手支援へ50社リスト作成:なお深刻化するシャドーバンキングの問題
銀行融資50社リストの作成
中国の不動産不況が深まり、大手不動産開発会社の経営危機が続く中、中国政府は大手不動産開発会社の資金調達支援に乗り出した。政府は銀行融資に適した不動産開発業者50社のリストを起草している、とされる。この50社には、国際金融団体がデフォルト(債務不履行)認定した最大手の不動産開発業者、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)も含まれるという。 中国住宅建築部が管轄する『中国房地産報』によると、このリストは金融監督管理部門が作成を主導している。また対象となる50社には民間企業と国有企業の両方が含まれるが、販売額の多さによって絞り込まれるとの見方を伝えている。その通りであれば、影響力の大きい大手不動産開発会社の破綻を回避するための枠組みといえるだろう。 銀行融資は、中国人民銀行(中央銀行)の指導を経た後に、来年にも実施される見通しだ。リスト入りした企業には、銀行融資だけでなく債券・株式発行による資金調達を認める方針で、多岐にわたる資金調達支援が検討されている。
リスクは不動産開発会社から銀行に移るか
銀行融資では、当局が銀行に対して、リスト入りした不動産開発会社への無担保の短期融資を初めて許可する可能性があるという。通常の融資では、土地や資産を担保に差しだすことを求められるが、この新しい融資制度は無担保で日々の業務目的に利用できるため、債務返済に充てる資金を工面できるようになる可能性があるという。 しかし、このように資金の借り手にとって良い条件の融資は、銀行にとってはリスクの高い融資である。当局はリスクが高い点を考慮して、銀行の融資が不良債権化しても経営の責任を問わないことを協議しているとされる。しかし、経営不振に陥った不動産開発会社への融資を拡大すれば、銀行がリスクを肩代わりすることになる。政府からの要請でそうしたリスクを負わされることに、反発する銀行も出てくるのではないか。 政府は不動産開発会社への支援を一段と強化したが、財政資金を使って救済することはせずに、不動産開発会社が抱えるリスクを銀行に転嫁する施策とも見える。政府の不動産不況対策は、段階的に強化されてきているとはいえ、引き続き慎重な姿勢は崩れていない。そうした姿勢によって、不動産市場、不動産業界、金融システムの悪化に歯止めをかけることができずに手遅れとなってしまうリスクが高まっているようにも見える。