東陵対仙台育英　4安打7奪三振で完封した仙台育英・吉川（撮影・木村有優）

＜秋季高校野球宮城大会：仙台育英2－0東陵＞◇25日◇準々決勝◇石巻市民球場ほか 　昨秋の宮城大会準々決勝と同カードとなる一戦は、仙台育英が東陵を2－0で破り、2年ぶりの4強入りを決めた。先発吉川陽大（あきひろ）投手（2年）が4安打7奪三振で完封し、投手戦を制した。 【一覧】秋季宮城大会の組み合わせ 　　　　◇　　　　◇　　　　◇ 　仙台育英の吉川がほえた。9回2死一塁。最後の打者のバットを、こん身のスライダーで空を切らせた。これまでは6回でマウンドを降りることが多かった。「絶対完投する」と意気込んで臨んだ一戦で、公式戦初完封。有言実行で、勝利へと導いた。 　1年前と、結果をひっくり返した。昨秋、同じ準々決勝で東陵に敗れた。試合には出場しなかった吉川だが、悔しさは痛いほど感じていた。「先輩たちが負けた同じ場所だから絶対にやってやろう」。先輩からの声援も胸に、雪辱を果たす意味のある1勝となった。 　以前は、自分の思いを優先し、周囲にまで気を使えるタイプではなかった。だが、エースナンバーを託された今は違う。「変わろうというチャンスをいただいて、背番号1を背負ってからは責任を持って試合に挑んでいる」。朝早くから仲間のために準備に取りかかるようになった。 　8回にソロ本塁打を放った女房役の川尻結大（ゆいと）捕手（2年）も「練習への向き合い方が変わった」。須江航監督（41）も「夏の終わりからの取り組みが実を結んだ。ほぼ100点のピッチング。エース誕生の瞬間まで8分咲きのところまで来ている」と、成長ぶりに目を細めた。同時に、吉川を粘り強く支えた野手陣にも「抜群だった。全員に好プレーがあった」と賛辞を惜しまなかった。 　「優勝」まであと2勝に迫ったが、吉川は「一戦必勝、みんなで勝ちにいく」と力を込めた。自らの左腕で、一歩ずつ王者への階段を上がる。【高橋香奈】