衆院選一夜明け、兵庫の当選者らが街頭に 与党議員にくぎを刺す有権者も
「政治とカネ」を巡り、激しい選挙戦となった衆院選。投開票から一夜明けた２８日、兵庫の小選挙区の当選者らは朝から街頭に立った。大敗の中で議席を守った与党議員は反省の言葉とともに有権者に頭を下げ、議席を獲得した野党議員は政治改革に向けた決意の声を上げた。 【写真】通勤客と握手して当選を報告する立民・桜井周氏 「本当に、本当にありがとうございました」。午前７時半ごろ、自民党前職関芳弘氏（５９）は神戸市垂水区のＪＲ舞子駅前に立ち、通勤客らに深々とお辞儀を繰り返した。派閥裏金事件で党の戒告処分を受け、比例復活のない「背水の選挙」で６選を決めたが、前回選から約１万票減らす辛勝。「長く支持してくれた人が離れていくのを、ひしひしと感じた」と振り返った。 兵庫３区では日本維新の会や国民民主党の野党候補３人が裏金批判を展開。自民への風当たりは日増しに強まり、関氏自身も関係したとして有権者から厳しいまなざしが向けられた。 この朝も関氏と握手を交わす有権者から「政治資金のことは再発しないように」とくぎを刺される場面があった。「落選した多くの仲間に申し訳ない」「ご迷惑をおかけしたことを大いに反省し、政治改革を率先していきたい」と述べた。 兵庫３区に立候補して比例近畿で復活当選した維新の前職和田有一朗氏（６０）は小雨が降る中、ＪＲ垂水駅前に立った。 「政治とカネの問題にけりをつける選挙区だ」と、自民の派閥裏金事件に照準を定めたが及ばなかった。政権批判票を国民民主候補と分け合う形となり、「追い風かどうか分からないつむじ風が吹いた。維新が受け皿になれなかったのはじくじたる思い」と話した。 激戦区の兵庫６区で勝利した立憲民主党の桜井周氏（５４）は午前７時からＪＲ伊丹駅前で、通勤客らにあいさつ。「期待しているよ」と声をかけられると、「ありがとうございます」と笑顔で握手を交わした。 維新、自民の前職２人との対決は３度目で、前回までは２回連続で比例復活に甘んじた。「三度目の正直」を期した今回は共産党の候補者擁立で野党共闘を実現できず、厳しい選挙戦を覚悟したが、景気対策や少子化対策など生活に目を向けた政策を訴え続けた。 選挙期間中は党の野田佳彦代表ら幹部が次々と来援。政権批判票の受け皿となり、自民候補に約９３００票差で競り勝った。 ３期目に向けて「新たなスタートの日」と意気込んだ桜井氏。「物価上昇を抑えて賃金が上がるようにするなど、国民の暮らしを守る政策をしていく」と決意を語った。（井上太郎、浮田志保）
