コンピュータが故人を復活させる⁉想像を絶するバーチャルリアリティの驚異の「現状」に天才二人も唖然【山中伸弥×羽生善治】
ChatGPTに代表されるAIは日常に当たり前のように溶け込み、我々の生活を豊かにしている。一方で、AIが人間の知能をはるかに超えてしまうことの危険性も指摘されている。日々発展し続けるAIの行く末は人類の味方か、それとも敵か。“ノーベル賞科学者”山中伸弥と“史上最強棋士”羽生善治の対談集『人間の未来 AIの未来』(山中伸弥・羽生善治著)より抜粋して、人間とAIの今後についてお届けする。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 連載第37回 『「アクセルとブレーキに似ている」…いまだ将棋界のトップを走る羽生善治が「あえて負けを許容」するのは、勝つための「秘策」だった』より続く
「バーチャルおじいちゃん」に人生相談
羽生 もちろん、肉体が衰えて寿命が来たら最後は死んで、すべて終わって消えてしまうのかもしれませんが、たとえば今の技術なら、生きてきた人の記憶や経験、データをいろいろなかたちで残せますね。 あるいは、今あるビッグデータみたいなものから、すでに死んだ人のデータを集めて、「この人なら、こういうことを言っただろう」とか「この人だったら、こういう判断をするに違いない」といったことがコンピュータ上にすべてシミュレートされて、まるで生きているかのように見える、ということはありうる話なのかなと思います。 亡くなった人間を蘇らせるわけではないですから、そのまま現れるとは言えなくても、その人に近い存在が現れることは起こってもおかしくないと思います。 山中 アメリカの墓地に行くと、お墓にQRコードが印字されていて、それにスマホをかざすと、クラウド上に保管された故人の情報やエピソードが出てくるサービスがあるらしいですよ。 羽生 今の技術だと、そういうことも普通にできるでしょうね。お孫さんやひ孫さんが墓参りをして、自分の先祖はこんな人だったと知る――「知らぬが仏」という気がしないでもありませんが(笑)。 山中 いや、どの自分を残すかは自分で選ぶことにして、自分にとって都合のいい情報だけを残せばいい(笑)。