2回戦 智弁和歌山、雨にも打ち勝つ /和歌山
<センバツ2019> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)は30日、智弁和歌山が啓新(福井)との2回戦に5-2で勝利し、市和歌山に続いてベスト8進出を決めた。平成で甲子園春夏通算63勝目を挙げ、大阪桐蔭と並び1位タイとなった。智弁和歌山は大会第9日第4試合(31日午後4時開始予定)の準々決勝で明石商(兵庫)と対戦し、昨秋の近畿大会で敗れた雪辱を期す。市和歌山は同じ日の第1試合の準々決勝(午前8時半開始予定)で習志野(千葉)と対戦する。【砂押健太、後藤奈緒】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 智弁和歌山 100020200=5 000000002=2 啓新 ◇平成春夏通算63勝 1位タイ 二回終了後に雨のため1時間50分の中断を挟み、コンディションも悪い中、智弁和歌山は投打がかみ合った。 一回無死一塁から西川晋太郎選手が左中間適時打を放ち先制。五回は2死一塁から、硲祐二郎選手ら下位打線の3連打で2点を加えた。七回2死一、三塁には細川凌平選手が2点適時打を放ち、突き放した。 投げては池田陽佑投手が八回まで無失点の好投。九回は3安打などで2点を失ったが後続を断った。 ◇ここぞの場面で渋い殊勲打 綾原創太選手(2年) 1点リードで迎えた五回2死満塁で、9番打者の綾原創太選手(2年)に打順が回ってきた。初球の外角変化球にうまく反応し、三遊間を抜く打撃を見せた。走者2人が還ったのを確認すると、塁上でガッツポーズを見せた。「泥臭い安打を打つことができた」 この日、2回終了後に雨で試合が中断した時、ベンチでは中谷仁監督から「いったんスイッチを切って、また入れ直すぞ」とアドバイスがあり、再開後もリラックスして打席に立っていた。 身長173センチと決して大柄ではないが、コンパクトなスイングでつなぐ打撃が持ち味だ。長打を狙うのではなく、しっかり引きつけて着実にボールを捉えるフォームに改め、成果を残してきた。昨秋の公式戦6試合では9番打者ながら、打率5割2分6厘、11打点と、いずれもチームトップをマークし、スタメンとして定着した。 母洋子さん(45)が「前向きな性格」と話すように、厳しい練習中でも笑顔を絶やさない。この日も試合中断のため待機中の時には、西川晋太郎選手(3年)らと宿舎で交わした他愛もない話の続きをベンチでするなど平常心を貫いた。 「ここ一番で打順が回ってくると思うので、粘りの打撃を見せたい」。次戦に向けた気負いはなく、自然体で臨む。 ◇応援団長も夢舞台 ○…23人の応援団員を率いるのは団長の田倉拳太(けんた)さん(3年)。小学校の時に球場で見た智弁和歌山の野球応援の力強さに魅せられ、応援団を志願した。日ごろの鍛錬などが審査される昨年夏の団長試験を受けて選ばれた。この日は応援団の伝統に従い、前団長の名前が刺しゅうされた紫色の鉢巻をズボンの後ろポケットから垂らして臨んだ。攻撃中は両手を大きく広げて「フレー、フレー、智弁!」と盛り上げ、「雨模様だけど、選手がいつも通りの打撃ができるようエールを送りたい」と声をからした。 ◇81年ぶり県勢ダブル8強 センバツで県勢2校がそろってベスト8に進んだのは、1938(昭和13)年の第15回大会以来81年ぶり。この時は海南中(現海南)、海草中(現向陽)によるダブル8強で、このうち海南中はベスト4まで進んだ。