【高校サッカー選手権】決勝初の“柏ダービー”を制す!流経大柏が3年ぶり8回目の全国へ
11月9日、第103回全国高校サッカー選手権千葉予選の決勝がフクダ電子アリーナで行われ、県リーグ1部の首位をいく日体大柏と高校年代の最高峰リーグであるU-18プレミアリーグを戦う流通経済大柏の顔合わせとなった。いわゆる“柏ダービー”だが、選手権の県決勝で両校がぶつかるのは初めてのことだった。 【フォトギャラリー】日体大柏 vs 流通経済大柏 晴天に恵まれたなか、2年ぶり2回目の本大会出場を目指す日体大柏のキックオフで、13時すぎにスタート。個々の能力が高く、プレー強度で上回る流経大柏が優勢ではないか、との声が多かった。終わってみれば4-1と、地力の差を見せつける格好となった。 流経大柏の榎本雅大監督は「前年度の準決勝で敗れている相手。力をつけてきているチームでもあるので、受けてしまうのではなく、立ち上がりから積極的にチャレンジしようと伝えていました。チーム全体の出足がよく、前半のいい時間帯に2得点したことで、後半もその波に乗ることができました」と、危なげない勝利に相好を崩した。 まずは7分。左サイドからのロングスローを相手ゴール前に送り、セカンドボールの奪い合いの末、FW19粕谷悠(3年)が短く下げる。そこで待ち構えていたDF4奈須琉世(3年)が右足をひと振り。混戦のなか、ボールは一直線に日体大柏ゴールに突き刺さり、早くも流経大柏が先手を取った。 さらに前半終了間際、相手陣内でのFKをキッカーのMF8亀田歩夢(3年)がいったん左サイドに振る。ボールを受けたDF21宮里晄太朗(3年)が逆サイドにねらいすましてクロスを供給すると、走り込んでいたDF奈須が頭で合わせ、鮮やかにゲット。流経大柏がリードを広げ、俄然、優位に立った。 センターバックでコンビを組むキャプテンのDF5佐藤夢真(3年)は「奈須の2ゴールで、チームがすごく楽になった。ただ、後半は0-0の気持ちで入りました。“球際、切り替え、運動量”という自分たちが重視するサッカーを変わらずに続ける。そこを意識しました」と、日体大柏を完膚なきまでにねじ伏せるべく、攻守に奮闘した。 62、66分にFW粕谷が相手のスキをつく形で、立て続けにゴールを奪い、4-0。この瞬間、勝利を決定づけたといっても差し支えないだろう。 日体大柏の根引謙介監督は悔しさをにじませつつ、こう振り返った。 「拮抗した展開に持ち込みながら、相手の強固な守備をこじ開けていく。それが自分たちのプランでしたが、セットプレー絡みで4失点。このような緊張感のあるゲームでは、勝負の肝となるセットプレーが大事ですが、そこで相手にやられてしまったなと感じます。自分たちがねらいとするサッカーができた時間帯もありましたが、(勝ちきるには)ゴール前の力が足りませんでした」 確かに、チャンスがなかったわけではない。35分に流れるような展開から決定機を創出したが、背後をうまくとったMF7沼田大都(2年)のシュートは相手DFにゴールライン上で阻まれた。後半に入ると、やや角度が狭かったとはいえ、右スペースに抜け出したFW14小泉ハーディー(2年)のシュートもあった。 日体大柏の唯一のゴールは、62分に交代出場したMF13赤崎太一(3年)のロングドリブルからの約25メートル弾だ。71分、自陣でボールを受けると、相手をひとりかわし、一気に加速。個の力で流経大柏ゴールをこじ開けてみせた。 選手権県決勝初の“柏ダービー”を制した流経大柏が3年ぶり8回目の全国へ。榎本監督は「激戦区の千葉を突破し、選手権の本大会に出場するチームとして、さらにレベルアップし、日本一を獲りたい」と、決意を新たにした。目指すは、第86回大会以来、2度目の全国制覇だ! (写真・文=小室功)