東京ドキュメンタリー映画祭、59本のラインナップ解禁 沖縄・久高島の秘祭追った作品など
東京ドキュメンタリー映画祭2024が、11月30日から12月13日まで東京・K's cinemaにて開催。このたび59作品のラインナップが発表された。 【画像】「沖縄久高島のイラブー」場面写真(他64件) 今年で7回目を迎える本映画祭。短編、長編、人類学・民俗映像といった各コンペティション部門の作品群に加え、特別上映として沖縄・久高島に伝わる12年に1度の秘祭“イザイホー”を追った「沖縄久高島のイラブー」、第2次世界大戦中に起こった学童疎開船の遭難事故「対馬丸事件」の真相に迫る「満天の星」、映画監督のナム・アルムが韓国民主化運動の旗手だった「386世代」である両親にカメラを向けた「家族の問題 K-Family Affairs」などがラインナップに並んだ。 また短編部門コンペティションでは、ジャーナリストの伊藤詩織が西アフリカ・シエラレオネで女性器切除(FGM)の伝統に反対する母子を取材した「カーディジャへの手紙」も上映。プログラム・上映作品の一覧は下記にまとめている。 プログラムディレクターを務める佐藤寛朗は、近年、海外からの応募に日本語字幕が付いてる作品が増えたことに触れつつ「AIを使った翻訳や編集ソフト、スマートフォンやドローンのカメラなど、日々発展する技術は、世界に顕在しているみえない壁を越え、私たちに新たな“現実の捉え方”を提示してくれます」とコメント。また「ドキュメンタリーという共通言語で国境を越えた作品が、一堂に会する場となったこの映画祭が、みなさまの知的好奇心を刺激し、さらなる世界への関心が深まる場となることを願っています」と語っている。 チケットは鑑賞日の3日前より劇場サイトで販売。 ■ 東京ドキュメンタリー映画祭2024 2024年11月30日(土)~12月13日(金)東京都 K's cinema 料金:3回券 3600円 / 一般 1600円 / 大・高1400円 / シニア1200円 □ 長編部門コンペティション ・北鵜島(監督:ジョン・ウィリアムズ、岩崎祐) ・共和国(監督:ジン・ジャン) ・君は君でいい(監督:大場丈夫) ・今のほうが その続き(監督:今井いおり) ・OKAは手ぶらでやってくる(監督:牧田敬祐) ・贈り物(監督:ローランス・レべスク) ・俳優病(監督:藤本純矢) ・洗頭記(監督:カン・シーウェイ) ・わたしを演じる私たち(監督:飯田基晴) □ 長編+短編部門コンペティション 日本での出会い ・能登の花(監督:トマゾ・バルベッタ、トマゾ・ネグリ) ・ジャスト・ア・ライド(監督:マッティ・キンヌネン、イイサッキ・ケンニラ) 沖縄 交錯する土地 ・あなたが私のパパですか?(監督:太田あきの) ・みえないことば 沖縄(監督:シュー・イーニン) □ 短編部門コンペティション ワールドワイド・NOW ・ガザよ、もし我汝を忘れなば(監督:ヴァンサン・ギルベール) ・カーディジャへの手紙(監督:伊藤詩織) ・横断旅行(監督:アナ・グラジエーラ・アギアル) ・流れゆく 遠い道(監督:チェ・イェリン) ・ソニョ・ピラタ 海賊の夢(監督:ステファノ・モローニ) 命をみつめる ・郵便局写真館 The Last Photo(監督:栂坂和音) ・今日は、認知症(監督:椋木りあん) ・おもかげ復元師 ~続いていくいのちの側で~(監督:水元泰嗣) 家と故郷 ・家(監督:池端規恵子) ・うどを植える(監督:阿部修一郎) ・広島生まれ(監督:サイ・ナミ) “先の戦争”の現在地 ・23通のありふれたラブレター(監督:仲村淳) ・志郎康さんの印象(監督:小沢和史) ・沖縄 戦没者遺骨収容 旧海軍司令部壕(監督:宮ゆふき) ・あしたよなあー不時着した特攻隊員ー(監督:田畑美徳) 当世大学事情 ・私は、私と、私が、私を、(監督:伊藤里菜) ・インレボリューションと学歴社会(監督:ト・コクゴウ) ・さよなら大学~コロナ禍の学生たち~(監督:斉藤潤一) 忘却に抗う ・ブタデスの娘(監督:岩崎宏俊) ・火の島(監督:中野美子) ・あるけあるけ 浪江町、未来への歩み(監督:会津万葉子、鈴木倫子、新村健一) ・誰か記者はいないのか? 烏賀陽がいる(監督:秋山浩之) 継承と革新 ・いのちの被膜(監督:松井至) ・浮草(監督:モハネド・ガネム) □ 人類学・民俗映像部門コンペティション アフリカ / 東京 ・グナワとの遭遇(監督:栗村実) ・つながりを生きる 東京のエチオピア移民(監督:川瀬慈) ロシア北方民族の今 ・アンバ(監督:ヴァレーリー・パブロービッチ・ウスコフ) ・ターニャの夏と冬(監督:アレクサンドル・アヴィロフ) マダガスカル:くらしの知恵 ・マハンピー いのちの素材(監督:サラ・エミリー・ブラウン) ・マモディ 最後のバオバブ掘り(監督:シリル・コルニュ) インド悲喜こもごも ・タイガー・ダンス(監督:プラヴィーン・K・シェッティ、ニテシュ・アンチャン) ・インディアン・ラブストーリー(監督:ディペシュ・カレル、フローデ・ストラース) 民俗芸能:伝承へのおもい ・若獅子とハレの日(監督:玉置裕哉) ・音、鳴りやまぬ。(監督:長岡参) 闘鶏:東ティモールの国民文化 ・シカ・スバール(監督:ディオゴ・ペソア・デ・アンドラーデ) 近代への内省 ・青鷺の足裏(監督:アンドリアヌス・ウチュ・メルディ) ・オブジェクト・スタディ(監督:ラウル・アラエホス) □ 特別上映 香港の「いたみ」 ・失われた一部(監督:チャン・ハウザン) ・隣の芝生は青い(監督:クリスタル・ウォン) 身体と空間 ~舞踏の世界~ ・ウルバ・テラ・バルセロナ(監督:ヘイケ・セルザー&アナ・ベーア) ・美しき老体 三浦一壮(監督:猪鼻秀一) ・間 [ma](監督:ミカエル・モーリッセン) ・七つの微笑(監督:万城目純) 人類学・民俗映像特別上映 ・沖縄久高島のイラブー(監督:岡田一男、鈴木由紀) ・満天の星(監督:寿大聡、葦澤恒)※特別先行上映 ・家族の問題 K-Family Affairs(監督:ナム・アルム)※日本初上映 ■ 佐藤寛朗(映画祭プログラムディレクター)コメント 「東京ドキュメンタリー映画祭」も7回目を迎えます。当初は日本国内の新作や“知られざる1本”に光を当てる意味合いが強かったコンペティション部門ですが、近年は、海外から日本語字幕をつけて応募された作品が増えました。AIを使った翻訳や編集ソフト、スマートフォンやドローンのカメラなど、日々発展する技術は、世界に顕在しているみえない壁を越え、私たちに新たな“現実の捉え方”を提示してくれます。 開催にあたっては、あらためて昨年定めた運営指針を確認し、体制を整備しました。 ドキュメンタリーという共通言語で国境を越えた作品が、一堂に会する場となったこの映画祭が、みなさまの知的好奇心を刺激し、さらなる世界への関心が深まる場となることを願っています。