川崎のペットボトル再生企業、米市場にSPAC上場へ-ブーム終了も
(ブルームバーグ): ペットボトルの再生を手掛けるジェプラン(非上場、川崎市)は3月にも、特別買収目的会社(SPAC)との合併で米国市場に上場する計画だ。SPACでの上場のブームもすでに終わった中で、同社の動きは珍しい。
ジェプランは、特別目的買収会社APアクイジションと合併し、ニューヨーク証券取引所に上場する予定だ。評価額は3億ドル(約443億円)で、APアクイジションの投資家による追加の資本調達や償還がない場合は、合併後の企業価値は4億2900万ドルと見積もることができる。
通常のIPOに比べて比較的簡単に上場できたため、一時期SPACとの合併による上場はブームになったが、成果を上げられない企業が相次ぎ、現在は監視の目が厳しくなっている。
ただジェプランは、リスクに見合う価値があると考えている。ニューヨーク証取に上場することで、より多くの投資家から資金を調達でき、ブランド力を高め、さらなる成長に必要な人材を集めることができると、同社はみている。上場によって「時間を買うことができるという風に考えた」と高尾正樹社長は話す。
2007年設立の同社は、ケミカルリサイクルと呼ばれる、理論的にはペットボトルを何百万回も再び使えるようにする技術を開発している。アサヒグループホールディングス傘下のアサヒ飲料も同社の技術を採用。首都圏・中部エリアの約3万台の自動販売機で回収したペットボトルのリサイクルに使われているという。
現金償還、平均9割
SPAC合併の上場には難しさもある。SPACの株主は資金返還を選べる。返還を選ぶ株主が多かった場合、合併後の企業は手元に入る資金が目減りしてしまうことになる。ブルームバーグが分析したSPACリサーチのデータによると、過去1年間の米国のSPAC合併では、平均で株式の約94%が償還された。
また米国での上場後に苦戦する日本企業は少なくない。地上から浮上して走行する「ホバーバイク」の開発を手掛けていたA.L.I.テクノロジーズは東京地方裁判所に破産申請し、1月に手続き開始の決定を受けた。同社は23年にSPACとの合併で米ナスダックに上場していた。SPAC経由ではない上場でも、過去1年間に米ナスダックに上場した日本発の新興企業6社すべての株価が公募価格を下回った。