「官民人事交流」ってどんな制度なの?
国家公務員と民間の会社員との間で、人事交流が進んでいます。2013年は、民間企業から国に派遣された会社員は215人と過去最多で、交流制度開始以来のべ936人となりました。逆に、国から民間企業に派遣した職員の数は70人でのべ403人となっています。公務員制度改革のなかでも人事交流の拡大が言われていますが、「官民人事交流」はどんな制度なのでしょうか? 「官民人事交流」は、2000年から始まりました。この制度を定めている法律「官民人事交流法」では、人事交流の目的を次のように掲げています。(1)効率的で機動的に業務が行えるよう民間からノウハウを学ぶこと(2)民間企業の実情について理解を深めること(3)民間の会社員を受け入れることで行政の運営を活性化すること、です。 この制度が対象としている国家公務員は「一般職」約34万人。防衛省の職員は「特別職」で、独自に人事交流を行っているため、上記の数字には含まれていません。任期は3年以内と定められていますが、必要に応じて5年まで延長できます。ただし、国家公務員が交流先の民間企業で業務を行う際に、交流前の地位を利用することや、民間の会社員が交流先の国の機関で派遣元の会社に対する処分等に関する業務にたずさわることは禁止されています。 人事院が年間を通じて公募をし、それに対して民間企業が応募、各省庁が民間企業と計画を練り、人事院が計画を認定するという流れで行われます。企業は、国から職員を民間に派遣するのか、民間から職員を受け入れるのかを決めて応募します。 2013年に民間企業から国の機関に派遣された例をみてみると、清水建設から経済産業省(風力発電などの新エネルギー担当)に、PR会社のプラップジャパンから厚生労働省(広報資料を分かりやすく修正する業務)などに。逆に国から民間企業に派遣されたのは、総務省からJTB総研(観光地などのツーリズム産業に関する調査など)に、国土交通省からJR東日本(三陸沿岸復旧)などとさまざまです。 国が民間に派遣されて行う業務の中には、国の業務と全く畑の違うものもあります。例えば、経済産業省から飲食店検索サービスの「ぐるなび」に派遣された職員は、新規顧客開拓や顧客のフォローといった、国の業務にはない「営業業務」を経験しています。