「黄金色のビール」注ぎ方極め…称号「タップスター」福井県内で初取得 本場チェコ公認、国内25人所持
透き通った黄金色のビール「ピルスナー」の元祖とされる「ピルスナーウルケル」の注ぎ方を極めた注ぎ手の称号「タップスター」を、福井県福井市の飲食店主奥平智之さん(39)が県内で初めて取得した。本場チェコの醸造所公認の技術。現地での修業を経て、ビール本来の味を引き出す完璧な注ぎ方の技術や知識が認められた。「最高の一杯を注ぐことに専念し、福井からビールの魅力を発信していきたい」と意欲満々だ。 ビールは発酵方法によって大きく「ラガー」と「エール」に分類される。ピルスナーはラガーの一種で、1842年にチェコの都市ピルゼンで世界初の黄金色のビールとして生まれたピルスナーウルケルが起源。ピルスナーは世界中に広まり、日本国内で流通しているビールもほとんどがこのタイプだという。 奥平さんが2023年6月にオープンしたビール専門店「Beer Stand Pivo(ビールスタンドピヴォ)」=福井市順化2丁目=は、県内で取り扱いが少ないピルスナーウルケルを提供しており、知見を深めようとタップスターへの挑戦を決意した。 試験を受けるには国内選考があり、奥平さんは24年4月、実技や面接などの選考を通過した。同10月に本場ピルゼンを訪問、座学やパブなどでの実地研修で伝統的な注ぎ方、製法、歴史をさらに学び、注ぎ方の実技やテイスティング、筆記の試験に合格した。 タップスターの称号は同10月末現在、世界で約500人、国内では25人が所持しているという。ピルスナーウルケルには「醸造家がビールを醸造し、注ぎ手がビールを完成させる」との理念があり、タップスターはそれを体現する存在。注ぎ方で味わいが変わり、奥平さんの店舗では、苦みや甘みのバランスがいい伝統的な「ハラディンカ」、9割が泡でまろやかな口当たりの「ミルコ」、称号所持者しか客に提供できない「シュニット」という香り豊かな注ぎ方の3種類を提供している。 奥平さんは「短期間だがピルゼンの本場の空気感を感じることができたことは財産。現代のビールの常識をつくったピルスナーウルケルのあまり知られていない魅力を多くの人に伝えたい」と話している。
福井新聞社