大竹しのぶ、「皆さんの心がヨロコビでいっぱいになることを願っています」『インサイド・ヘッド2』で描かれる“感情の嵐”に魅了
ディズニー&ピクサー最新作『インサイド・ヘッド2』(8月1日公開)の吹替版完成披露舞台挨拶が7月2日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、大竹しのぶ(カナシミ役)、多部未華子(シンパイ役)、横溝菜帆(ライリー役)、マヂカルラブリー村上(ハズカシ役)、小清水亜美(ヨロコビ役)が出席した。 【写真を見る】大竹しのぶは鮮やかなブルーのパンツスーツ、多部未華子はビタミンカラーのワンピース姿で登場 本作は、誰も目にしたことがない頭の中の感情たちの世界を描き、第88回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したディズニー&ピクサー作品『インサイド・ヘッド』(15)の続編。高校入学という転機を迎えるライリーの頭の中で、彼女の幸せを“子どものころから見守る感情”であるヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの前に、新たに“大人の感情”である、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシが現れ、感情の嵐が巻き起こる。 ポジティブでハッピーな感情たちのリーダー的存在である、ヨロコビを演じる小清水は「今回からやらせていただきます。ものすごいプレッシャーを感じながら、大事に大事に演じさせていただきました」としみじみ。「皆様の前に立ててうれしく思います」と心を込めた。いつもモジモジしていて恥ずかしさがMAX になるとフードで顔を隠す“大人の感情”ハズカシ役の村上は、「アニメの吹替えは初めての経験。うれしいと思うと同時に、途中から『恥ずかしい思いをすることになるだろうな』とマイナスな感情が湧いてきた。だんだん(キャラクターに)似てきた」と愛情を傾けながら、「会心の仕事ができたんじゃないか」と晴れやかな笑顔で語った。 高校入学という人生の転機を控えた頑張り屋の主人公、ライリーを演じる横溝は「前作を観た時に、アイデアや映像にかわいさにすごく感動した。そんな作品の続編にちょっぴり大人になったライリーとして参加できて本当にうれしいです」と感無量の面持ち。 ライリーが思春期を迎えたことで登場した“大人の感情”シンパイ役を担ったのが多部で、「『インサイド・ヘッド』の大ファンの方がたくさんいらっしゃると思う。『インサイド・ヘッド2』も心から待ち望んでいる方がたくさんいる」と本シリーズの人気に触れ、「そんななかで、ニューキャラのシンパイ役を演じさせていただいて、いまとても“シンパイ”です」とちゃめっ気たっぷりに語り、会場を笑わせた。前作に引き続き、内気で泣き虫だけど実は誰よりもやさしいカナシミ役を担当した大竹は、「またカナシミに出会えるのかと思うとうれしくて」と再会を喜び、「ずっとカナシミのトーンや存在が私の体のなかにあって、懐かしみながら録音をしました」と目尻を下げていた。 6月14日より全米をはじめ世界で順次公開され、アニメーション映画史上最速で10億ドルを突破する大ヒットを記録している本作。完成作を観たキャスト陣も大いに魅了されたという。 村上は「レジェンドクラスの方たちのなかに急にお笑い芸人が入って、初めての経験で声をやらせていただいた。完成作で一人だけ浮いていないか心配だったんですが、観ているうちにどんどん入り込みました。自分がやっている声が出ていても、話に集中して、非常に楽しく観れた」と惚れ惚れ。「室温もあったと思うんですが、興奮して汗びっしょりになった。タオル必須です。汗や涙、いろいろなものが出ます」とオススメした。すると「録っている時はいっぱいいっぱいだった」という多部も、「出来上がったものを観て、誰しもが感じたことのある感情、経験したことのある出来事だと思った。親世代や、思春期真っ只中の子でも共感ができるグッとくるシーンがいっぱいある。汗だけではなく、涙という意味でも、水分を拭き取るものを用意していただいたほうがいい」と続いて、観客の笑いを誘っていた。 大人が観ても楽しめる映画だとそれぞれが口をそろえたが、大竹も「ライリーが大人になった分、複雑な感情が出てきた。子どものころは心配や人を羨む感情はないけれど、大人になると感情がたくさん出てくるので、悲しいことも増える」と描かれる内容に心を寄せた。また演じたライリーと同じく思春期の横溝は、「ライリーと重なる部分が多かった。この作品を観て、ライリーと一緒に自分の感情に向き合うきっかけになった」とたくさんの発見があったという。 登場するキャラクターと重ねながら、いまの自分の“頭の中の感情”を発表するひと幕もあった。ダリィのシールを目立つ位置に貼ったパネルを掲げた小清水は「気持ちではなく、年々、体がだるくなってきている。20代と同じようにはいかないなと。体がダリィです」とにっこり。ヨロコビが中心にいるという横溝は「基本的に前向きな性格で、ずっとハッピー。周りの方のいいところやステキだなと思ったところを、自分なりに真似して自分のものにしちゃいがちなので、イイナーもいます。新しいことをしていると、ハズカシも出てきます」といろいろな感情が渦巻いている様子。「悲しいことはすぐに忘れちゃうほう」だという大竹は、「さきほどインタビューで『2年前に録音した時も』と言ったら、前作はもう9年前だった。時間があっという間に過ぎる。こんな歳になっちゃったのが悲しい」と笑う場面もあり、ヨロコビの周りにあらゆる感情のキャラクターを貼ったパネルを披露。「シンパイやハズカシ、カナシミなど、喜んでもらうためにこの感情があるんだなと思う。皆さんの心がヨロコビでいっぱいになることを願っています」と希望を込め、大きな拍手を浴びていた。 取材・文/成田おり枝