スマートカーへの攻撃リスクに備えを、セキュリティー専門家が警鐘
(ブルームバーグ): 無線通信機能を備えたスマートカーはハッキングされるリスクがあり、自動車メーカーは、車載ソフトウエアの自動アップデートの前にユーザーが承認する手続きを入れるといった対策を講じるべきだと、サイバーセキュリティーの専門家が警鐘を鳴らしている。
コネクテッドカーでは運転手のスマートフォンと車との間のほぼ全ての通信がクラウドを介して行われている。「OTA(オーバー・ジ・エアー)」と呼ばれる無線通信で更新できる機能を持つ車も増えている。
「常時接続の車両の登場によって、以前は存在しなかった脅威が存在するようになった」。欧州の自動車メーカー数社を顧客に持つITセキュリティー企業のNCCグループのコンサルタントであるリズ・ジェイムズ氏はこう指摘する。
ジェイムズ氏によると、サイバーセキュリティ-の専門家がテストで、本来ならできないはずの通信に成功した例がいくつもあるという。
こうしたリスクは、今年初めに開かれた自動車の最先端技術の展示会「オートモーティブ・ワールド」の期間中に、すご腕ハッカーのチームが集まりコンテストの場でテスラ車にハッキングした際にも取り沙汰された。2022年にはドイツの10代のハッカーがテスラ車の遠隔操作に成功したとツイートして、世界的に話題になった。
ハッキングのリスクを軽減するために、NCCグループのジェイムズ氏は、自動車メーカーはユーザーが選択できる「オプトイン」方式を採用し、車の位置情報把握やソフトウエアアップデートの実行などセキュリティーに関わる動作を実行する際には、ユーザー自身が最終的な意思決定をできるようにすべきだと指摘する。
日本企業も手をこまぬいている訳ではない。産経新聞の報道によると、トヨタなど116社が車へのサイバー攻撃対応を強化する目的で、制御ソフトの管理ルールを統一に動いているという。
コネクテッドカーが身近になるにつれて、消費者の意識も変わりつつある。