価値が上がっているらしい「金」と安定している「定期預金」。資産形成するならどちらが得?
近年、「金」の価格が上昇しているといわれています。実際、10年前の金の価格と比べると1gあたり5000円以上価格が高くなっています。 いっぽう、金以外に資産形成の方法として定期預金を選択する方も少なくありません。定期預金は、最初に預金した金額よりも低くなるリスクがほとんどないことがメリットです。 今回は、金の価格変遷や定期預金の特徴、またそれぞれの比較についてご紹介します。
金の価格の変遷
2013~2024年にかけての金の価格推移は表1の通りです。 なお、消費税は考慮しないものとしています。 表1
※田中貴金属工業株式会社「月次金価格推移」を基に筆者作成 10年間の価格を比較してみると、多少の減少はあるものの全体的に上昇傾向であることが分かります。 特に、2022年から2023年では大きく上昇しており、1gあたり1269円の差です。 2023年から2024年にかけても上昇していることから、金の価値はこれからも高くなることが予想されます。
定期預金とは
定期預金とは、預ける期間を自分で決めて預金する方法です。 多くの場合、300万円未満の固定金利で行う定期預金をスーパー定期、300万円以上になるとスーパー定期300といわれるようです。 固定金利では、最初に預け入れた時の金利が最後まで適用される点が特徴です。 今回は、こうした固定金利の定期預金の場合で考えていきます。 金利は預け入れる年数によって変動する傾向があり、利用する銀行によっても変わるため、注意が必要です。 銀行ごとの金利例を表2にまとめました。 表2
※各銀行公式サイトを基に筆者作成 10年単位の定期預金となると、今回比べた3社では同じ金利でした。 また、年数が長くなるにつれて金利の割合も大きくなります。
金を10年間保有して売却した場合と定期預金10年間の差
今回金と定期預金を比較するにあたって、条件を以下とします。 ・金は2014年1月時点に約100万円分購入、2024年1月に売却 ・定期預金は固定金利を採用し、年利0.200%で100万円を預けて10年たった金額 まず、2014年1月時点で100万円を購入すると重さでは約238gになります。 238gを2024年1月時点の金額で売却できたとすると、売却価格は229万36円です。 購入時と比べると、約129万円の利益が発生します。 定期預金を条件の通りにした場合、10年後の金額は101万5951円です。 利益としては約1万円で、金と比べるとあまり多くないように感じます。 しかし、金には売却した時点で所得税が発生するほか、売買のどちらにも手数料が必要です。 手数料は金の取扱店が独自で決めているため、事前調査が必要です。 例えば、売却時に手数料として20%を引かれるとすると、今回の条件では手元にくるお金が約183万2029円になります。 ここからさらに譲渡所得の特別控除の50万円を引いた133万2029円に所得税が課され、ほかの所得と合計した所得税額を支払うことになります。 ※国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」 いっぽう、定期預金は預金分に所得税はかからず、利息分のみが税金の対象です。 また、金は価格が下落する可能性もありますが、定期預金は最初に預けたお金以下になる可能性がほとんどありません。 そのため、期間を決めず長期的な資産として保有したい場合は金が、期間を決めて着実に資産形成したい場合は定期預金が向いているといえるでしょう。