子どもの車内放置、保護者の半数「経験」データも 気温35度は15分で危険レベル 暑さ本格化、千葉県警ら呼びかけ強化 「短時間でも危険、命守れない」
すでに気温30度を超す真夏日が千葉県内で連日観測され、厳しい暑さが本格化する中、子どもを決して車の中に放置しないよう、千葉県警や関係機関が呼びかけを強化している。車内放置は熱中症になる恐れがあり、最悪の場合、命を落としかねない。一方で、保護者の約半数が「5分以内なら」「子どもが寝ている」といった理由で車内放置をした経験があるというデータも。「短時間でも危険な行為」と認識し、車内に残さないことが「子どもを守る大人の役目」。県警担当者らはこう訴えている。 県内では2021年7月に車内で熱中症になったとみられる女児=当時(1)=が死亡した事例があり、県警は抑止啓発を続けている。今月3日には千葉市中央区の京成千葉駅西口前広場で、警察官らが「STOP! 車内放置」と書かれたうちわ500枚などを駅利用者や親子連れに配り、注意を促した。 県警少年課によると、子どもが車に放置されているとの通報を受けるなどして対応した車内放置件数は、県内で昨年55件(前年比34件増)。保護者らに事情を聴くと「少しの時間だから大丈夫だと思った」「窓を少し開けていた」といった反応が目立つという。同課の清田利博課長は「車内放置の危険性を知ってもらいたい。子どもを守るのは大人の役割。決して子どもを車内に放置しないで」と訴えた。 3日の駅前啓発で警察官らの説明を聞いた子育て中の春日祥歩さん(34)=船橋市=は「(車内に児童が放置されているのを)見つけたらすぐに警察に通報したい」と話した。 県内では早くも気温35度以上の猛暑日になった地点もある。日本自動車連盟(JAF)が行った調査によると、気温35度の場合、車内の暑さ指数はエアコン停止からわずか15分で危険レベルに到達。サンシェードや窓を少し開ける対策をしていても車内温度の上昇は抑制できなかった。 JAFがネット上で行ったアンケートでは「少しの時間でも子どもを車内に残したまま車を離れたことがある」と回答した人は54・9%と半数以上。 その理由として「用事を終えて5分以内に戻ることができるため」が54・8%で最も多く、「子どもが寝てしまい、起こさないため」は19・3%、「降りるのを嫌がるなど子どもの希望で」が12・6%で続いた。 エアコンを使えば車内温度は上がらないが、JAF千葉支部の担当者は「エンジンをかけたまま子どもを残すと、誤操作する可能性があり危険だ」と指摘。「子どものためと思って車内に残している場合もあるが、熱中症の危険があるので意識を変えることが必要だ」と強調する。