“世界最強”イクイノックスが7億円をゲットできたかもしれない有馬記念をパスして電撃引退した舞台裏とは…種牡馬として初年度から10億円以上を生み出す可能性も
ジャパンカップ(11月26日)でGⅠ6連勝を飾り、総獲得賞金が22億円超え、歴代トップに立ったイクイノックス(牡4歳、木村哲也厩舎)の引退、種牡馬入りが30日、馬主のシルクレーシングから発表された。けい養となる社台スタリオンステーションから高額オファーが届き、初年度の種付け料は破格の1800万円とも言われる。有馬記念を勝てば1着賞金にボーナスを加えて7億円が入る計算だったが、それを見送っての決断。その背景にあったものとは。 【画像】あの美人格闘家が刺激的なへそ出しコーデでパキパキの腹筋を披露
ルメールの流した涙の意味
ジャパンカップのレース後に名コンビ、クリストフ・ルメール騎手の目頭からあふれ出たのは惜別の涙だったのかも知れない。世界最強馬イクイノックスが次に選択したのは有馬記念ではなく現役引退、種牡馬入りだった。 レース後、陣営は、「あらゆる可能性を排除せず、しっかり検討したい」と話し、12月24日の有馬記念参戦も選択肢のひとつとして視野に入れていた模様だった。 天皇賞・秋のレース後と同じようにノーザンファーム天栄へ移動。ただ、全力投球型だけに秋2戦で負った疲労は大きかった。脚元などに異常は見られなかったものの、ここで再び中3週で走らせるのは難しいと判断された。 気の早い競馬ファンはイブ決戦を心待ちにしていたが、功成り名を遂げたイクイノックスには、もはや走るべきレースは残っていなかったということになる。ある競馬関係者はこう話す。 「有馬記念にルメールが乗る馬がいなさそうだったので、もしかしたらは思ったが、もう使う理由がないですものね」 ただ歴代最強と言われたディープインパクトの場合はジャパンC、有馬記念の「年内2走で引退」があらかじめ告げられていたことを思うと、突然の幕引き感は否めず、国内外から驚きと落胆の声が上がったのも無理はなかった。 もし有馬記念を連覇すればグレード制導入後、史上初のGⅠ7連勝となり、さらに天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念を同一年に優勝した馬に与えられるボーナスを含めると7億円が入ってくるところだった。だが、競走馬には不測の事態がつきもの。万が一のことを恐れ、種牡馬としての未来を考えると引退は必然だったようだ。 競馬関係者の一人は、こう説明した。 「この馬に出資しているシルクホースクラブの会員は残念がっているでしょうし、もう1回、あの走りを見たいと思っているファンも多いことでしょう。でもイクイノックスは競馬界の宝物。最大級の評価を得たところで、これ以上走る理由が見当たらない。いま世界で最も注目されている馬ですから」