ネット動画の後追い蔓延 年末の風物詩、テレビの「衝撃映像」制作者の苦悩
タレントは初見を装いリアクション
こうした潮流はテレビ番組に出演する芸能人にも色濃く影響を与えているようだ。同じような番組に出演するタレントにとっては、使い回しされた映像を何度も見せられることもあるのだろう。 「衝撃映像はそれを見たタレントのリアクションも大事です。ですから、他局ですでに見たモノでも、あたかも初めて見たかのような反応を期待される。バラエティ慣れしているタレントやお笑い芸人はそのあたりを分かっていて、知らないフリをして驚いてくれますが、番宣のために出てくるような俳優、モデルは、『これ、私見たことあります』と思わず言ってしまうなんてこともあります。当然、放送ではカットしますけどね」(前出の制作会社ディレクター) 最近ではネットを中心に“ネタ切れ”と叩かれている衝撃映像番組ではあるが、意外にもスポンサー受けは悪くないという。 「驚き、感動、爆笑という要素があって、子どもから大人まで楽しめるので、テレビを好んで見る層にとってはピッタリ。また暮れの忙しいときでも、気軽に番組の途中から見ても楽しめる。同じ映像を使用するということに関しては作り手のプライドの希薄さを感じますが、そこそこ視聴率も取るので、コストパフォーマンスの点から見ると、優良なコンテンツと言えるでしょう」(前出の放送作家) この年末にも放送を予定している局もあるようだが、くれぐれも「これ、見たことがある」という映像ばかりにならないようにしてもらいたいものだ。 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)