原料の争奪戦も 空の脱炭素「国産SAF」製造へ【WBSクロス】
需要増で奪い合いも
ただ、SAFの広がりで、思いもよらぬ事態も起きています。 市民団体「かわさきかえるプロジェクト」は2005年から家庭で使用した油の回収を開始。区役所をはじめとした公共施設など144カ所で回収しています。 「1回でおよそ40リットルの油が集まる」(「かわさきかえるプロジェクト」の大久保明美代表) 今は石けんなどにリサイクルしていますが、今後SAFの原料としての活用も視野に入れています。ところが2年ほど前から使用済み油が盗難される事件が相次いでいるのです。 脱炭素社会の実現のため、SAFの原料となる使用済み油のニーズは世界的に高まっています。取引価格は2021年1キロあたり46円でしたが、1年ほどでおよそ3倍にまで急上昇。盗難が相次ぐことに繋がった可能性があります。 原料の奪い合いさえ起きつつあるSAF。安定供給のためには、家庭の使用済み油のさらなる活用が欠かせないといいます。 「家庭から出てくるものはまだ10万キロリットル程度回収していない。国内の資源を活用しながら、安定的なエネルギーであるSAFが作れるポテンシャルがある。まだ眠っているものを活用していくところに軸足を置いていく」(「サファイアスカイエナジー」の山本哲COO) ※ワールドビジネスサテライト