滑りやすいボール、硬いマウンド、国内時差などから自然に力み日本人投手は米1年目に故障多い
◆米大リーグ ドジャース2―7ロイヤルズ(15日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム) ドジャース・山本由伸投手(25)が15日(日本時間16日)、本拠地ロイヤルズ戦で先発したが、右上腕三頭筋の張りを訴えて2回28球、1安打無失点で緊急降板した。数日前から違和感があったといい、近日中に精密検査を受ける見込みだ。D・ロバーツ監督(52)は、負傷者リスト(IL)入りさせる可能性が高いことを示唆。ここまで14登板で6勝2敗、防御率2・92をマークし、状態を上げていた右腕がアクシデントに見舞われた。 メジャーの1年目から先発でフル回転することは簡単ではない。日本の常識が通用しないことも多く、ボールは滑りやすいとされて、マウンドは硬い。登板間隔も日本より短く、移動距離が長いだけでなく、最大3時間の国内時差もある。自然に力が入って故障につながるケースはこれまでの日本人投手にも多かった。 近年の米1年目投手では14年のヤンキース・田中(現楽天)が7月に右肘炎症で約2か月離脱。18年にエンゼルスに加入した大谷も6月に右肘内側側副じん帯損傷で離脱し、10月にトミー・ジョン手術を受けた。21年のレンジャーズ・有原(現ソフトバンク)も5月に右肩を手術。今季2年目のメッツ・千賀は今季、右腕炎症でいまだ登板がない。 山本の精密検査の結果が出ていないため、軽症であることを祈るのみだが、6月頃は開幕からの疲労が蓄積する時期でもある。これまで松坂、ダルビッシュ、前田ら好投手もメジャー移籍後にトミー・ジョン手術を受けた。オリックス時代は長期離脱につながる大きな故障はなかった。だからこそ、軽症だとしても復帰へは慎重になるだろう。メジャーに適応する難しさが改めて示された。(メジャー担当・安藤 宏太)
報知新聞社