“布教”のため? 旧ジャニーズ音源“無断配布”がSNS上でまん延…「アイドルにしてみれば大迷惑」弁護士が法的リスクを指摘
購入者など“受け取った側”にも法的責任が…
SNSで販売・配布している側にも後ろめたさがあるのか、有料の金額も“小遣いレベル”で、中には無料で配布するケースもある。 しかし前原弁護士は「無料配布だろうと少額での販売だろうと、侵害行為に変わりはない」ときっぱり。 「もちろん得た利益が大きければ悪質性が高いと判断されます。しかし、いくら安価でも利益を得る目的で著作権侵害を行っていたのであれば、計画性もあり悪質です。無料配布の場合でも、権利者は経済的ダメージを負っています。無料だからといって、許される行為ではありません」(前原弁護士) また、音源や映像を“譲り受けた側”も違法となる可能性があるという。 「著作権が侵害されたデータであることを知りながら受け取った場合は、購入者などデータを受け取った人も著作権侵害になるので注意が必要です(著作権法30条第1項3号)」(同前)
原動力は「自己顕示欲」か
しかし、なぜ“小遣い”程度の対価のために、あるいは対価が得られないのにもかかわらず、ここまで明白な違反行為をする人がいるのだろうか。 前原弁護士は、販売・配布する人について「自己顕示欲があるのでは」と分析する。 「『自分は親切なことをしていて、みんなから喜ばれている』『“布教”してあげて、アイドルのためになっている』という意識すらあるように思います。 当然それは大きな誤解で、実際にはただの営業妨害にしかなっていません。アイドルにしてみれば“大迷惑”なはずです。 そもそも無償で音源や映像を譲り受けるような人は、本当の意味でのファンではない可能性があります。そうした“ファンみたいな人”を増やしても、どうしようもないことです。 近年ではアイドルなどもYouTubeやSNSを使って公式的に楽曲や映像を配信しています。そうした公式的なものを、ルールにのっとってシェアする分には誰の権利も傷つきません。それこそが正しい“布教”活動ではないでしょうか」(前原弁護士) その上で前原弁護士は、アイドルや所属事務所に対しても「権利侵害は『本当に困るんだ』ということを、もっと訴えてもいいのではないか」と提言した。