60歳でマルチにハマり5000万円を失った男性の末路。ついには闇バイトに手を出した結果…
残忍かつ凶悪な手口で世間を震撼させている「闇バイト」の数々。実行犯は若者ばかりと思いきや、自覚の有無にかかわらず中高年も手を染めている。その裏には、若者とは違う彼らならではのニーズがあった。 ⇒【写真】石井さんが売却した銀行カード
還暦になって5000万円をマルチにつぎ込む
「70代というと年寄りだと思われるけど、今の老人は結構パソコンもiPhoneもSNSも使いこなしてる。それがアダになったのかなぁ……」 銀行カード転売の闇バイトを行った石井勝彦さん(仮名・72歳)はそう振り返る。大手ゼネコン勤務を経て40代で工務店を経営するも、60歳でマルチにハマり5000万円を失ってから人生が暗転。 「それでも年金で食い繋いでましたが、ここ数年ギャンブルにのめり込み、闇金に手を出した。それで親族や知人から400万円を借りたのですが、首が回らなくなったので闇バイトに応募しました」
X経由で銀行カードを転売…その後も闇バイトの勧誘が続く
Xで「高収入」「即金」などのワードで検索し、行き着いたのが「キャッシュカード高額買取、即金」とポストされたアカウントだった。 その後、通信記録の残らないアプリ「シグナル」でのやり取りを強要され、石井さんが売りに出したカードは妻名義のものを含め4枚。 「買い取り額は一枚10万円。『カードが作れないヤクザの幹部が日常で使うためのもの』と説明されました」 数日後、指定されたJR高田馬場駅近くの古びた喫茶店で相手と面会し、カードと暗証番号を渡した。 「20代の半グレ風の男で、当初は紳士的だったんですが、『人気のない銀行じゃないか』と突然脅されて、一枚1万円に値切られてしまいました」 それ以降、石井さんのもとには頻繁に闇バイトの誘いが入るという。どれも一日3万~100万円の案件で、「運転や荷物運びくらいなら……と迷っています」と話す。
若者の逮捕は“隠れ蓑”!?深刻化する中高年闇バイト
「主にSNSを通じて闇バイトに関する相談を多くいただくのですが、最近は生活に追われ『即日払い』などの文言に引き寄せられる中高年が増えているのを感じます」 そう話すのは、裏社会事情に詳しい作家で編集者の草下シンヤ氏だ。中高年闇バイトの増加について「むしろ今後、リクルーティングの主対象になるだろう」と分析している。 「犯罪者は常に次の一手を考えています。現在は闇バイトの実行犯が20~30代の若者であると報道されていますが、それは犯罪者にとって“いい隠れ蓑”になっています。 実際、若者よりも使い勝手がいい場合が少なくない。犯罪はチームで行われるため、強盗のように“体力が必要”なポジションばかりではありません。 たとえば犯罪で得たカネの運搬役などの場合、犯罪者は職質されそうにない人を配置したがるので、地味な見た目をした中年男性が求められる。そんな役回りはいくらでもあります」