知名度勝負の選挙、「キャラ立ち」の東京都知事生む? 注目度の高さ、乱立の原因に。選管も想定外の56人立候補
石原氏の後継もまた作家の猪瀬直樹氏。東京五輪・パラリンピック開催が決まったのは猪瀬時代だった。ただ、医療法人グループからの5千万円受領が発覚したことで、わずか1年で辞職に追い込まれた。 後に続いた国際政治学者で元厚生労働相の舛添要一氏も2年で都庁を去る。政治資金の私的流用問題を指摘されたことがその理由。次が現職の小池氏だ。 ▽首都圏では断トツの投票率 今回の選挙の特徴は「候補乱立」だ。過去21回の都知事選のうち、10人以上が立候補したのは14回に及ぶ。16年以降は20人以上が続いている。 乱立に慣れているはずの東京都選挙管理委員会も56人という数は「想定外」だったようだ。選挙ポスターの掲示板の枠は最大48人分しか準備されていなかった。 都選管は告示日当日、49番目以降に届け出た8候補にクリアファイルと粘着テープや画びょうを支給した。候補者に個別に増設を要請するという異例の対応だった。
有権者を見ると、都は全国でも群を抜いて多く、1150万人(6月12日現在)に上る。得票数の過去最多は12年に当選した猪瀬氏で433万票。小池氏が再選された20年の366万票が続いている。 その20年の投票率は55・0%で、16年は59・73%。首都圏の知事選では23年の埼玉が23・76%、神奈川が40・35%、21年の千葉は38・99%と比較すると、かなり高いことが分かる。注目度の高さが影響しているようだ。 都知事選で投票率が最も高かったのは美濃部亮吉氏が再選された1971年で72・36%。最も低いのは鈴木俊一氏が3選を果たした87年で43・19%となっている。 ▽年間予算はスウェーデンやチェコ並み 最後に、選挙戦の舞台となっている東京都をデータで見てみよう。 東京都は約1400万人の人口を抱え、日本全体の1割超を占める。年間予算は16兆円でスウェーデンやチェコの国家予算と同程度。21年度の都内総生産は113兆7千億円で、全国の2割余り。オランダやトルコの国内総生産に匹敵する。
都道府県で3番目に面積が狭い半面、今年5月1日時点の人口は1417万人で、2位の神奈川県に大差をつける。ただ、23年の人口動態統計(概数)では、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は東京都は0・99。全国平均を下回った。 65歳以上の高齢者は20年時点で319万人、都全体の22・7%を占める。45年は397万人で全体の28・8%と予測している。