知名度勝負の選挙、「キャラ立ち」の東京都知事生む? 注目度の高さ、乱立の原因に。選管も想定外の56人立候補
首都のかじ取り役を決める東京都知事選は最終盤を迎えた。過去最多の56人が立候補したが、実は以前から候補は乱立気味だった。最近は20人以上の立候補が続いている。 【写真】勝算は「全く無かった」が「やらざるを得なかった」大阪回帰 松井一郎氏が振り返る日本維新の会 22年
注目度が高い選挙では、知名度が勝敗を分けることが少なくない。これまでにあった都知事選は21回で、知事の座に就いたのは9人。振り返ると「キャラ立ち」した人が多い。現職はキャスター出身の小池百合子氏。他の面々も作家やタレント出身とバラエティに富む。 知事のキャラクターや選挙の歴史をひもとけば、選挙の見方が変わるかも。(共同通信=東京都知事選取材チーム) ▽作家の次は作家、さらに作家 初代の東京都知事は、終戦直後の1947年に就任した。「東京都長官」を務めた経験のある安井誠一郎氏だ。初当選時は56歳で、実はこれまでで最も若い都知事。その後は小池氏までいずれも60代で初めて就任している。安井氏は戦後の食糧不足や住宅難の解消に尽力した。交通整備を進め、復興に努めたとされている。 59年に就任した東龍太郎氏は2期を務めた。64年の東京五輪開催のほか、上下水道や地下鉄建設など都市基盤整備に力を尽くした。
高度経済成長を経て、東京では人口集中や公害が問題になる。そんな中、67年に就任したのは経済学者の美濃部亮吉氏だった。当時の社会、共産両党の「革新共闘」で当選を勝ち取った。福祉重視を掲げ、老人医療費無料化や児童手当創設に取り組んだ。「東京に青空を」のスローガンで公害対策にも着手した事で知られる。一方で、オイルショックによる景気後退もあり財政は悪化した。 79年から16年間知事を務めたのが元内務官僚の鈴木俊一氏。在任期間は今も最長記録になっている。東京駅に近い丸の内にあった都庁舎の新宿移転や臨海副都心の開発に尽力した。 その鈴木氏が臨海副都心で開催しようとしたのが世界都市博覧会だった。ただ、この博覧会は別の都知事の判断で中止になる。決断を下したのは、直木賞作家でタレント出身の青島幸男氏。ただ、他の政策などで独自色を出せず、1期で都庁を去ることになった。 青島氏の後を継いだのも有名作家だった。芥川賞作家で、運輸相などを歴任した石原慎太郎氏。99年に就任し、ディーゼル車の排ガス規制や新銀行東京設立などを推進した。言動は強気で、波紋を広げるものも少なくなかった。尖閣諸島を買い上げる計画を表明したことなどはその例だ。石原氏の当選4回は鈴木氏と並んで最多。