グランドマザー彰子さま、出産後は… 一条天皇との関係は? 天皇の後継めぐり道長とバトルも
『源氏物語』のエピソード、どうなる?
水野:ドラマ「光る君へ」では、第1帖の【桐壺】から第5帖の【若紫】まで、一気に『源氏物語』を書く設定になっていますよね。連載仕立てで『ジャンプ』みたいになってますね。 たらればさん:このあとも大忙しですよ。【末摘花】(すえつむのはな/第6帖)が出てきて、【紅葉賀】(もみじのが/第7帖)もあって。 水野:【紅葉賀】といえば、「光る君へ」で実写化してほしいシーン、ナンバーワンのシーンが出てくる帖ですね。 たらればさん:光源氏と頭中将が並び立つ青海波の舞いですね。さらに、【葵】(第9帖)では光源氏の正妻である葵の上と、年上の恋人の六条御息所との「車争い」もあります。 「光る君へ」ではいろんなところで『源氏物語』のエピソードを差し挟んでチラ見せしてきましたが、ここらへんはどうするのか、すっ飛ばすのか分かる人にだけ分かるように見せるのか、楽しみです。
伊周と隆家たち、中関白家のきょうだいは…
水野:御嶽詣の道長を襲おうとしたり、彰子さまの出産を呪詛したり……、伊周(三浦翔平さん)の暗躍ぶりがすごかったですね。このころは実際に、道長を暗殺するといったウワサが立っていたんですか? たらればさん:ロバート実資(秋山竜次さん)が出てくるかな、と思ったんですが、この場面では出ませんでしたね。「道長の御嶽詣の際に伊周が道長の暗殺を計画していた」という噂話は、藤原実資の「小右記」に書かれているんです。「あくまでもウワサだが」、みたいに書かれています。 やっぱり政治的に負けた側というのは、悲しいですが権力もありませんし、こういう悪いウワサを流されがちですよね。『栄花物語』でも、伊周は「幼い」といったことが書かれてしまってます。 水野:ドラマでは、道長一行への襲撃は、伊周の弟・隆家(竜星涼さん)が止めてましたよね。 たらればさん:『小右記』では伊周と隆家は一緒に(道長暗殺を)計画していた、とウワサされてるんですけどね(笑)。 道長を襲おうとしたお兄ちゃん(伊周)を隆家が泣きながら止めていましたが、隆家は『枕草子』でもお姉ちゃん大好きっ子として描かれていて、とてもほほえましいです。今後、道長や実資と交流もあり、こいつ憎めないなぁ、という感じで長生きしますよ。 水野:たしかに竜星涼さんが演じる隆家は、ほんとに憎めないです(笑)。このあと、隆家は活躍するんですよね。 たらればさん:寛仁三年(西暦1019年)三月~四月に起こった「刀伊(とい)の入寇(にゅうこう)」で、日本側の司令官として活躍したのが隆家です。 「刀伊の入寇」は「元寇」に次ぐ規模の外敵侵略事件であり、平安時代最大の外交危機といえます。対馬と壱岐に海賊のような船がたくさんやって来て、九州への侵略を試みたものです。その際に太宰府で総司令官として対応にあたったのが藤原隆家です。 自身が引き連れていた武家貴族と現地の武士を統率してよく戦い、中央に顔も利くので報告や事後処理、論功行賞も迅速で適切だったと言われています。 名家のボンボンなのに北九州の武家貴族に気に入られて、愛されキャラだったんだな、というのがよく分かります。 水野:敦成親王の「五十日(いか)」の祝いの宴にも出てきて女房をくどいていましたが、今後もちょくちょく出てきてほしいですね。 ◆これまでのたらればさんの「光る君へ」スペース採録記事は、こちら(https://withnews.jp/articles/keyword/10926)から。 次回のたらればさんとのスペースは、10月13日21時~に開催します。 <たらればさんが、朝日カルチャーセンターの講座『「枕草子」の煌めく世界―紫式部を鏡として』に登壇します。 『新訂 枕草子』の著者・河添房江さん、津島知明さんに、清少納言や「枕草子」のあれこれを聞いて深掘りします。 日時:10月26日(土)13時~ 申し込みはこちら(https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7394695)から。>