つぼみ芸人『深夜のハチミツ』で初の挫折…「爪あとを残したい」モシモシいけが100kmサバイバルマラソンにかける想い
“バラエティ”を求められ、何もできなかった自分
初めは順調でした。 順調というか、喜びや興奮が大きかったです。 初出演時は、企画でコントをやることができました。 フジテレビ×若手×テレビコント=そんなの最高以外の何物でもない。夢。めちゃくちゃうれしかった。 前日にコント出演者が集合し、スタッフのみなさんと台本読みや衣装合わせ、細かな修正をしていく。 なんかすごく、「テレビ」を味わえて、純粋に楽しかったです。 しかし、『深夜のハチミツ』はコントだけの番組ではありません。 バラエティです。 コント以外の企画で、バラエティを求められた僕は、何も手札がなく、芸人ではない、ただそこにいるだけの人になりました。 無害だけど、無味。 どう調理したらいいかわからない、食べられはするけど味のしない、謎の物体が収穫されました。小さな小さな、カッスカスの実。 これまでの僕の芸人人生を“幹”としたら、コントでしか水やりをしていなかったので、当然の結果です。 僕のこれまでは、芸人=ネタ。ライブでも、ネタ後のトークや企画コーナーはおまけ。ネタでウケればそれでいい、そんなスタンスでした。 「ネタさえがんばればいい」「ネタで評価されたい」「ネタが俺たちの武器だ」 芸人としての器をネタでいっぱいにしていました。 しかしそれは、僕という人間の素をさらけ出したくない、台本のない「平場」が苦手な自分から目をそらすための鎧。 もともと僕はスピーチやあいさつなど、その場で考え、組み立て、伝える、アドリブ要素が多いものに、すごく苦手意識があります。 だったらネタやこのコラムのように、考えて整理して発信したいし、そのほうが得意だと思っている(けっしてうまいとはいえないけど)。 芸人として、いつかはこの問題に直面するだろうなと思っていました。 『深夜のハチミツ』では、次第にスタジオ企画が多くなっていき…… 何もできず……落ち込み……尻込みし……でも何かしなきゃ……空回り…… 究極の負のスパイラルに陥りました。 いつか立たされるであろうけど目をそらしていたバッターボックスに立たされた結果が、こうでした。