毒クラゲ「カツオノエボシ」常設展示へ光明 新江ノ島水族館など共同研究
新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市片瀬海岸)は、東海大生物学部生物学科(札幌市)などとの共同研究で、飼育が難しいとされる毒クラゲ「カツオノエボシ」の繁殖に関して新たな発見があったと発表した。同水族館で常設展示を目指す。 【図で見る】カツオノエボシの構造 カツオノエボシは、県内でも夏や秋に砂浜などに打ち上がるクラゲの仲間で、触手に強い毒を持つ。刺されると痛みを感じることから「電気クラゲ」とも呼ばれる。繁殖など生態に未解明な点が多く、長年、多種多様なクラゲを育ててきた同水族館でも最長70日の飼育維持にとどまるなど長期飼育は困難とされてきた。 今回の研究は、他に東大大学院三崎臨海実験所(三浦市)や米イェール大も協力。カツオノエボシが放出する「ゴノデンドロン(生殖枝)」と呼ばれる生殖細胞が放出時には未成熟で、放出後に成熟していくことが新たに分かったという。 この成果が長期飼育の実現につながるとみて、今後も研究を進める。同水族館は、カツオノエボシの生態や造形の美しさを広く知ってもらうため、長期飼育と繁殖を成功させ、世界初の常設展示を目指したいとしている。
神奈川新聞社